2019 Fiscal Year Research-status Report
A Historical Analysis of Auguste Comte's "Cours de la philosophie positive"
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19K00116
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
安孫子 信 法政大学, 文学部, 教授 (70212537)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉本 隆司 明治大学, 政治経済学部, 専任講師 (80509042)
村松 正隆 北海道大学, 文学研究院, 准教授 (70348168)
松井 久 法政大学, その他部局等, 講師 (60834843)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | オーギュスト・コント / 実証哲学講義 / 実証哲学 / 実証主義 / 社会学 / 科学哲学 |
Outline of Annual Research Achievements |
オーギュスト・コントの第一の主著である『実証哲学講義』(1830-42)の本邦初となる全体を網羅する抄訳の作成出版を、科研メンバーを中心とする共同チームで推進することが、科研研究自身の中心課題となっており、その課題を達成するための作業を、ここまで、ほぼ当初の計画通りの内容とペースで行うことができたと考える。 研究の拠点を東京に置きつつ、遠隔会議システムを駆使して、札幌、パリのメンバーも加えての隔週に一度の、毎回4-5時間に及ぶ研究会を、年間を通じて、粘り強く、コンスタントに実施することができた。研究会では、数学から始まり、天文学、物理学、化学、生物学、社会学に及ぶ『実証哲学講義』全6巻の内容を、多角的に検討しつつ、訳稿、訳注の読み合わせ、検討を、全員参加で、かなりの程度、推し進めることが出来た。同書を、コント自身の思想体系に内在的に位置づけて徹底理解することだけではなく、同書を、とくに同時代の哲学史と科学史の文脈に置いて、外在的に理解することにおいても、多々の成果を上げることができたと考える。 このような科研共同研究メンバーによる定期の共同作業に加えて、12月には国内外、研究会外部の、コントおよび実証哲学の専門家、とくにコントの生理学・骨相学の専門家にも複数、加わってもらっての2日間の、公開のワークショップを実施することが出来た。この研究集会においては、外の知見から多くを学び吸収しえただけでなく、我々自身の研究会での諸成果を、外の目も加えて、客観的かつ批判的に吟味することが出来た。 なお、年度最後3月の諸行事については、コロナ禍の影響でメンバーたちが別様に多忙となり実施できないできているが、年度明け、5月下旬から、再開の目処が立って、現在に至っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
年度最後3月の研究会は、コロナ禍の影響で、延期せざるをえないでいるが、それまでは、年度当初から、二週に一度の、科研メンバーを中心とした研究会を、遠隔会議システムも用いて、着実に実施できてきた。加えて、これも年度当初から計画していた、研究会外部の、海外の専門家も招いての2日間の、課題研究をめぐっての公開のワークショップも、成功裏に実施することが出来た。また、共同研究の代表者と、協力者の2名は、それぞれ個人の研究費によって、短期間、それぞれ、フランスでの調査や研究会参加を行い、コント関係の資料の収集や、実証哲学、社会哲学、社会学をめぐる研究交流と言うことで、成果をあげることができた。 これらの研究成果の成果物としての公表刊行にはまだ至っていないが、それら成果は、研究会のデータベースに、電子資料として、整理し蓄積されており、逐次、論文の形で、また最終的には、『実証哲学講義』の訳、訳注、解説の形で、公にされていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
『実証哲学講義』の原文全6巻を、「自然科学篇」と「社会科学篇」の2巻本として、翻訳刊行の予定であるが、その内の「自然科学篇」は2020年度中に、また「社会科学篇」は2021年度中に、完成刊行させたいと考えている。その進みを念頭に置いて、科研メンバーを中心とする内部での研究会は、これまで通り、遠隔会議システムを援用して、当面のコロナ禍においても、二週に一度のペースで、実施していく予定である。また、研究会内部での研究成果を客観的なふるいにかけていくための、海外を含む外部の研究者を招いてのワークショップを、場合によってはやはり遠隔会議システムを用いて、これまで通り、年に一度、実施できればと考えている。さらに、資料収集や研究交流のための、研究会メンバーの海外出張も、それこそコロナ禍の今後の推移次第ではあるが、状況を見極めつつ、考えていきたいと思う。こうして、現状これまでの研究体制と研究方策を維持し、これまで通りのペースで研究成果が蓄積されていけば、最終的には、与えられた科研研究年内に、当初の研究目標を達成することは十分可能であると考える。
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Causes of Carryover |
国際研究集会を実施した際に、招待研究者の1名が旅費滞在費を別の財源から調達してくれて、その分が未使用となった。
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Research Products
(9 results)