2022 Fiscal Year Annual Research Report
A Historical Analysis of Auguste Comte's "Cours de la philosophie positive"
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19K00116
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
安孫子 信 法政大学, 国際日本学研究所, 研究員 (70212537)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉本 隆司 明治大学, 政治経済学部, 専任講師 (80509042)
村松 正隆 北海道大学, 文学研究院, 教授 (70348168)
松井 久 明治大学, 研究知財戦略機構, 研究推進員(客員研究員) (60834843)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 実証哲学 / 実証主義 / 科学哲学 / 科学史 / オーギュスト・コント / 『実証哲学講義』 / 三状態の法則 / 分類の法則 |
Outline of Annual Research Achievements |
科学としての社会学を、『実証哲学講義』(1830-42)によって創出したのはオーギュスト・コント(1798-1857)である。ただこのときコントが社会学に与えた意味は今日忘れられている。社会学の当初の意味は、むしろ次のニーチェの言葉が示している。「科学的方法の歴史は、コントによってほとんど哲学自身と見なされた」(『権力への意志』)。 実証哲学の内実が社会学であるとして、その社会学の内実をニーチェは「科学的方法の歴史」つまり科学史と見なしたのである。そして実証哲学の意味を科学史に見るということではベルクソンも同様の主張を行っている。「近代哲学の偉大な業績の一つ」としてコントの『実証哲学講義』に触れつつベルクソンは、「数学から社会学まで諸科学の間にヒエラルキーの秩序を打ち立てるという、単純ではあるが天才的なその考えは、コントがそれを決定的真理として打ち立てて以来、われわれの精神が認めざるをえないものとなっている」(『フランス哲学』) と述べる。これはコント社会学の掲げる二つの法則、「三状態の法則」(神学的から形而上学的を経て、実証的へ至る人間の知的進化の三状態の法則)と「分類の法則」(諸科学を数学、天文学、物理学、化学、生物学、社会学の六科学に分類する法則)のうち、とくに「分類の法則」の意義を説くものであるが、ここでこの法則は、六科学について、扱う現象の単純・複雑に従っての順と同時に、歴史的に科学として成立してくる順も説いており、科学史を論じるものである。『実証哲学講義』の哲学的意義を問うことは、こうして社会学の哲学的意義を問うことであり、それはさらに科学史の哲学的意義を問うこととなる。これまで3年間『実証哲学講義』の徹底的読解を通じて追及してきたこの問いに、2022年の最終年度にはとくに2日間にわたる国際シンポジウムで集中的な検討を行い、一定の回答を与えることが出来た。
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Research Products
(18 results)
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[Book] 『ユートピアのアクチュアリティ――政治的想像力の復権』2022
Author(s)
菊池理夫, 有賀誠, 田上孝一, 近藤和貴結, 城剛志, 石塚正英, 杉本隆司, 渡辺幸子,奥田恒, 見崎史拓, 田中将人
Total Pages
254
Publisher
晃洋書房
ISBN
9784771036246
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