2021 Fiscal Year Research-status Report
人新世における動物と芸術ー21世紀の環境哲学の地平
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19K00127
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
清水 知子 筑波大学, 人文社会系, 准教授 (00334847)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 動物 / 芸術 / 人新世 / パンデミック / テクノロジー / 環境哲学 |
Outline of Annual Research Achievements |
コロナウィルス感染の拡大と収束の時期が予測できない状況にありつつも、動物と芸術について、またより広く環境哲学の地平から生/死政治の倫理とデモクラシーについて様々なかたちで考察を深めることができた。具体的には、6月に日本アニメーション学会において動物と自然、そしてジェンダーをめぐる表象について、8月には日本アニメーション学会にてディズニーと動物をめぐる映像文化について発表を行い議論を行うことができた。7月には東京ビエンナーレにて、人新世の帰結としてのパンデミックと芸術についてシンポジウムを通して議論を深めることができた。またアメリカにおいてポストヒューマンをめぐる思想を展開してきたキャサリン・ヘイルズの「ポストヒューマン・ウイルス」論を翻訳し、解説を付すことで、ウイルス時代の人文知を再考し、「人間」をめぐる境界の問題について理論的考察を深めることができた。さらに、人新世と21世紀の環境哲学については、ケアをめぐる思想を掘り下げることで、新たな知見を得ることができた。これについては、作家、アーティストへのインタビューを行い、彼らの意識の変化と作品の変容など多様な論点が浮き彫りになった。パンデミック時代の環境哲学と芸術という展では、ドイツのアーティストであるスザンヌ・ケネディ、マルクス・ゼルク、ロドリック・ビアステーカーらによるVR作品『I AM(VR)』をはじめ、クレア・ビショップらを交えて、リサーチベース・アートとアテンションの政治学について議論し、従来とは異なる芸術の展開についても考察することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実勢の概要」に記したように、学会シンポジウムと作家、アーティストへのインタビューを含む調査を実施し、当初予定していた概ねの活動と、最終年度としての研究成果を得ることができたと考えている。ただし、新型コロナウィルスのため、これまでの活動を集約するうえで企画していた現地調査、シンポジウムが延期となったため次年度への延期となった。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルス対策をしっかりととりながら、延期となった国際学会での成果報告の実現と研究の集大成を行い、著書として刊行する。
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