2021 Fiscal Year Research-status Report
無声映画期の欧米諸国におけるアジア映画の上映およびアジア映画人の活動に関する研究
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19K00128
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
韓 燕麗 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (10537096)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 映画史 / アジア映画人 / ヨーロッパ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はこれまで充分に踏査されてこなかったヨーロッパ諸国におけるアジア映画の受容の実態およびアジア映画人の活動について、実態調査と分析を行うことを目的としている。欧米諸国の無声映画に描かれる国籍不明な「東洋人」イメージに対して、日本も中国も20世紀初頭から国辱としてずっと抗議しつづけていた。当時の映画人も、いかに自国産の映画をもって欧米の歪んだ認識を是正しようと議論しつつ、映画作品の中でそれを実践しつづけた。アジア映画はその最初期から欧米からの視線を強く意識しながら発展してきたものだと言えよう。しかし映画を利用した文化的発信は欧米諸国において、実際どのように受容さ れ、そしていかなる効果があったのか、いまだ不明瞭なままのところが多い。
今年度は、昨年度に引き続き、課題申請当初に考えた研究が計画どおりに進まない時の対応法つまり関係者に対して聞き取り調査を行った。とくに実際に映画製作と映画評論に携わっていた香港の方に対する聞き取り調査を、追加で何度か行い、また聞き起こした文書の整理などの作業も行いながら完成度を高めることができた。香港と日本の両方で出版させる計画を立てている。 なお、国立フィルムアーカイブのニュースレターに、中国系移民のアイデンティティとも関連する記事を二回寄稿した。また、香港教育大学や中国東南大学など複数の海外大学でオンライン講座を開き、海外の若手研究者と学生たちと積極的な交流と意見交換を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究は、ヨーロッパにおけるアジア映画の受容およびアジア映画人の活動についての研究であるため、海外への資料調査は不可欠である。コロナウィルス世界的蔓延の影響で、当初予定していたヨーロッパ方面への史料調査と国際学会への参加など、すべてやむを得ず中止となった。ネットから検索できる情報や資料が限られているため、予定より進捗が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナウィルスの蔓延状況が終息に向かいつつあるため、あらためて計画を立てて、調査に出かける予定である。8月に香港とヨーロッパへ資料調査に行く予定である。また、海外から研究者を招き、オンラインで国際ワークショップを開くことも予定している(9月上旬) 最終年度で時間も限られているため、ほかの調査方法も引き続き併用する予定である。課題申請時に考えた研究が当初計画どおりに進まない時の対応として、関係者に対して聞き取り調査を行うことであったが、今年度はまたその通りに実行し、今後も対象と回数など拡大して行う予定である。
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Causes of Carryover |
今年度もやはりコロナウィルスの世界的蔓延の影響で、海外における資料調査を断念せざるを得なかった。現状が終息に向かっているため、またあらためて計画を立てて、調査に出かける予定である(8月)。また海外から研究者を招き、国際ワークショップを開くことも予定している(9月)。 また、課題申請時に考えた研究が当初計画どおりに進まない時の対応として、関係者に対して聞き取り調査を行うことであったが、今年度はその通りに実行し、今後も対象と回数など拡大して行う予定である。
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Research Products
(5 results)