2022 Fiscal Year Research-status Report
無声映画期の欧米諸国におけるアジア映画の上映およびアジア映画人の活動に関する研究
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19K00128
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
韓 燕麗 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (10537096)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 映画史 / アジア映画人 / 欧米諸国 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はこれまで充分に踏査されてこなかったヨーロッパ諸国におけるアジア映画の受容の実態およびアジア映画人の活動について、実態調査と分析を行うことを目的としている。欧米諸国の無声映画に描かれる国籍不明な「東洋人」イメージに対して、日本も中国も20世紀初頭から国辱としてずっと抗議しつづけていた。当時の映画人も、いかに自国産の映画をもって欧米の歪んだ認識を是正しようと議論しつつ、映画作品の中でそれを実践しつづけた。アジア映画はその最初期から欧米からの視線を強く意識しながら発展してきたものだと言えよう。しかし映画を利用した文化的発信は欧米諸国において、実際どのように受容され、そしていかなる効果があったのか、いまだ不明瞭なままのところが多い。 今年度は、ようやく海外へ赴いて研究発表と調査を行うことができ、2022年12月にベルギーのルーヴェン・カトリック大学主催の国際ワークショップに参加して研究発表を行った。ヨーロッパ各国の映画研究者と日本史研究者たちと非常に有意義な対面交流を行うことができた。 また、移民関連で積極的に研究会を企画・参加した。とくに2023年2月に企画・主催した研究会では、無声映画期のヨーロッパとアメリカにおける日本映画人の活動について、日本映画の研究者によって貴重な資料を駆使した研究発表が行われた。広範囲に跨る研究テーマであるため、今後は共同研究の可能性も考えるべきだと思われる。単著で執筆した研究成果の一部はそれぞれ香港と北京で出版された学術書に掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、ようやく海外へ赴いて研究発表と資料調査を行うことができ、移民研究関連で積極的に研究会の企画も行った。単著で執筆した研究成果の一部はそれぞれ香港と北京で出版された学術書に掲載され、全体的に順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナ禍がほとんど終息したため、今年度は積極的に計画を立てて、調査に出かける予定である。これまで三年間で現地調査を行えなかった時間を巻き戻しつつ、最終年度の総まとめとして、国際ワークショップの開催・研究成果の発行など同時進行を行う予定である。
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Causes of Carryover |
本研究は、欧米諸国におけるアジア映画の受容およびアジア映画人の活動についての研究であるため、海外への資料調査は不可欠である。これまでのコロナウィルスの世界的蔓延の影響で、海外における資料調査はやはり不足しているように思われる。研究期間をさらに延長し、調査対象と回数など拡大して行う必要があるため、次年度で同テーマの研究活動を行えるよう使用できる金額を残しておいた。
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Research Products
(9 results)