2023 Fiscal Year Annual Research Report
無声映画期の欧米諸国におけるアジア映画の上映およびアジア映画人の活動に関する研究
Project/Area Number |
19K00128
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
韓 燕麗 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (10537096)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 映画史 / アジア映画人 / 欧米諸国 / 無声映画 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はこれまで充分に踏査されてこなかったヨーロッパ諸国におけるアジア映画の受容の実態およびアジア映画人の活動について、実態調査と分析を行うことを目的としている。欧米諸国の無声映画に描かれる国籍不明な「東洋人」イメージに対して、日本も中国も20世紀初頭から国辱としてずっと抗議しつづけていた。当時の映画人も、いかに自国産の映画をもって欧米の歪んだ認識を是正しようと議論しつつ、映画作品の中でそれを実践しつづけた。アジア映画はその最初期から欧米からの視線を強く意識しながら発展してきたものだと言えよう。しかし映画を利用した文化的発信は欧米諸国において、実際どのように受容され、そしていかなる効果があったのか、いまだ不明瞭なままのところが多い。 今年度は、北京大学芸術学院からの招待で、2023年8月に講演および国際ワークショップに参加した。中国、アメリカや韓国で中国語圏映画を研究しているトップレベルの学者と一緒に交流でき、非常に良い刺激を受けた。講演およびトークイベントについて『日本映像学会会報』の「VIEW展望」に寄稿する予定である。また、愛知大大学現代中国学会編集の『中国21』誌に寄稿し、ここ30年来ハリウッドで活躍する中国系監督の系譜を整理し、<中国>という表象の作り手は、中国語圏の内部に限らず、ハリウッドにおけるキャメラの背後のイエロー・フェイスもそのイメージ構築の重要な担い手であることを指摘した。それ以外に中国語で執筆した研究成果の一部は香港電影資料館編集の論文集に掲載される予定である。
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