2020 Fiscal Year Research-status Report
Research on the theory of art on the utopique image in the Post-Impressionism
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19K00131
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
永井 隆則 京都工芸繊維大学, デザイン・建築学系, 准教授 (60207967)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 古代美術 / プッサン / アルカディア / ロココ / フェット・ギャラント / シャヴァンヌ / ユートピア |
Outline of Annual Research Achievements |
1)2019年6月24日、第1回国際シンポジウム「ポスト印象派におけるユートピアの表象」を開催したが、その続編として第2回国際シンポジウム「西洋の美術におけるユートピアの表象」(2020年11月28日、19:00~23:00、ZOOMミーティングによるオンライン開催)を開催し、ポスト印象派のユートピアの表象が西洋美術の伝統から由来するとの前提に立って、古代美術、古典主義のプッサン、ロココ美術、シャヴァンヌ研究の第一人者を国内外から招聘し、西洋美術史において、ユートピアの表象がどのように継承されて来たのか、19世紀の近代ではどのような変貌を遂げたかを検証した。全体討議では企画者(永井)が各発表者に予め以下の3つの問題提起を行いそれにお応え頂く形で各専門分野での事例をご発表頂くと共に全体討議の場でさらに議論を重ねた。 1.近代に於けるユートピアの表象は、近代以前の表象から何を受け継ぎ、また、どのような社会的思想的環境の中で新たなユートピアを創出したのか?2.ユートピアを表象する行為自体が時代を超えた普遍的な心的メカニズムではないかとの仮説に立って、そのメカニズムとは一体どのようなものか?創造行為論としてユートピア芸術論を構築することが可能かどうか?3.ユートピアは歴史的に見て女性側に属すと見做されてきた感性や価値観と結びついて表象されてきたのではないか? 以上の問題設定に対して幾つかの豊かな回答が得られ、登壇者全員で「ユートピアの表象」に関する理解を深めこの問題の拡がりを確認することができた。また、多数の視聴者が国内外、学会内外から参加し活発な議論が交わされ盛況の内に終了した。研究会の成果を広く共有し社会還元することができた。なお、参加者申し込み者数は、日仏美術学会員を中心に国内外から85(国内73、海外12)名であった。 2)関連論文を学会誌等に数編、発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ポスト印象派における「ユートピア」表象の源泉となった場所を訪問して着想限を調査する予定だったが、コロナ渦のため海外渡航ができず、以下の場所を訪問することができなかった:ポン・タヴェン、ル・プルデュ、タヒチ島、ヒヴァ・オア島。 また、以下の海外美術館での作品調査も行うことができなかった:セザンヌ(ロンドン・ナショナル・ギャラリー)、ゴーギャン(スコットランド美術館)、ゴッホ(アムステルダム国立ファン・ゴッホ美術館、クレラー・ミュラー美術館)など。
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Strategy for Future Research Activity |
1)第1回(2019年6月24日)、第2回(2020年11月28日)に続き、2021年11月27、28日に第3回(最終)国際シンポジウムを開催する。第3回シンポジウムでは、再びポスト印象派に立ち戻って、セザンヌ、ゴッホ、ゴーギャン研究の国際的な第一人者にご参加頂いて第1回の登壇者とは異なった多様な解釈をご提供頂き、また、後世代の新印象派や野獣派の専門家にも参加して頂いて、ポスト印象派3人から後世代の画家へ「ユートピア」表象がどのように継承されたかを明らかにする。これによって、第1回、第2回シンポジウムの成果を踏まえつつ本研究の総括を行う。 2)ユートピアの着想限となったポン・タヴェン、ル・プルデュ、タヒチ島、ヒヴァ・オア島を訪問しユートピア表象の着想源を調査する。 3)海外の美術館でセザンヌ、ゴッホ、ゴーギャンのユートピア関連の作品を調査する。セザンヌ(ロンドン・ナショナル・ギャラリー)、ゴーギャン(スコットランド美術館)、ゴッホ(アムステルダム国立ファン・ゴッホ美術館、クレラー・ミュラー美術館)など。 4)本テーマを巡って外国語で論文を作成し海外研究者との情報、意見交換を行う。
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Causes of Carryover |
1)次年度使用額が生じた理由:コロナ渦のため海外に渡航できず海外出張費、滞在費として使用できなかった。
2)使用計画 ①2020年度に訪問できなかった場所や美術館を訪問する。②国際シンポジウムを開催して通訳代金、謝金等の開催費にあてる。③外国語論文を作成し海外研究者と情報、意見交換をはかるが、そのために外国語添削費用にあてる。④関連図書を購入する。
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Research Products
(5 results)