2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K00136
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Research Institution | Kyoto City University of Arts |
Principal Investigator |
齋藤 桂 京都市立芸術大学, 日本伝統音楽研究センター, 講師 (20582852)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 股旅 / 任侠 / 時代小説 / 音楽 / 近代音楽 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、新型コロナウィルスの感染拡大の影響で、股旅舞踊関連のイベントは中止となり、また都道府県をまたぐ移動の自粛が推奨されていたため、府外の図書館・資料館での資料調査も実施することができなかった。 そのため、本研究課題に関しては、主に文献に基づく研究のみを行った。 ①まずは、戦前に出版された股旅ものの小説・戯曲・映画の内容の検討を行った。特に、作品にみられる「移動する個人」というステレオタイプの背景についての考察を行った。 ②さらに、研究対象である股旅ものの前史として、近代日本における「時代小説」の成立と、そこに観られる同時代の思想について調査・検討を行った。主に着目したのは中里介山『大菩薩峠』で、この作品自体は股旅ものではないが、近世を舞台にしつつも近代的なテーマを扱っている点、また「移動」が作中で大きな役割を担っている点において、その後の股旅ものに大きな影響を与えている作品である。そのため、同作品の内容に観られる芸術観と政治思想の関連について、主にトルストイの芸術論受容の観点から分析を行うことで、解明を試みた。また、当時の時代小説の受容についての調査を行い、のちに興る股旅ものブームの前提・背景について明らかにした。 ③加えて、股旅もののその後、として戦後の任侠もの関連の資料収集・読解も行った。 上記①~③により、本研究で扱う股旅ものの内実および、その文化史的文脈についての研究が進展している状況である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度は新型コロナウィルス感染拡大の影響を被った。 特にイベント調査やインタビュー調査、他都道府県での図書館・資料館調査が実施できなかったことは、研究の進展の遅延の最も大きな原因である。日常的な大学業務においてもオンライン化などイレギュラーな対応が必要となり、本研究課題の進捗に影響があった。 他方、文献調査に集中したことにより、本研究の対象である股旅ものの文化史的文脈の解明は順調に進展している。 しかし、全体としてはやはりウィルス関連の影響は大きく、「やや遅れている」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
イベントやインタビュー調査を行うという当初の計画は維持しつつ、今後も昨年度と類似の状況が続く可能性も視野にいれて、文献調査・オンラインを活用した調査にシフトしていく必要があると考えている。 文献調査に関しては、2019~2020年度と同様に、資料収集・読解・分析を進める。 オンラインを活用した調査については、遠隔会議システム等を使ったインタビュー、舞台のオンライン配信の視聴等を検討している。
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Causes of Carryover |
調査対象のイベントが中止、また都道府県をまたぐ移動の自粛が推奨となったため、調査旅行を行わなかった。今後も類似の状況が継続することも視野に入れつつ、研究の中心を現地調査・対面インタビューから、文献収集・オンラインへと移行することを検討している。そのため、次年度使用額は資料購入費・オンライン設備を整えるために充てたいと考えている。
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Research Products
(2 results)