2020 Fiscal Year Research-status Report
近代初期日本における美術・文化愛好者の再生産過程―学校外での教習活動に着目して―
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19K00139
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Research Institution | Showa Women's University |
Principal Investigator |
早川 陽 昭和女子大学, 人間社会学部, 准教授 (20739007)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塚本 麿充 東京大学, 東洋文化研究所, 准教授 (00416265)
歌川 光一 昭和女子大学, 人間社会学部, 講師 (50708998)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 近代文人画 / 南画鑑賞 / シリアスレジャー / レクリエーション / 余暇 / 趣味 / 美術文化 / 陳列会 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度はコロナ禍により対面による調査を控え、海外渡航調査なども出来なかったが、予算を資料収集への使用に切り替えて研究を続けた。 研究代表者は、昭和初期に発行された『趣味大観』にみられる自然栽培趣味の記述から、盆栽趣味の諸相を明らかにすることを試みた。昭和初期に発行された盆栽関連の書籍・資料を概観し、この時代の植物栽培に関わる人々の社会的状況と趣味の繋がりをまとめている。盆栽趣味の需要層の拡大、価値観の広がりが、陳列会・美術館展示に繋がった様子を明らかにした。また『盆栽雅報』『盆栽』『盆栽世界』『近代盆栽』などを継続して収集した。 次に、2021年3月26日にオンラインによる研究会を実施した。研究代表者は、「昭和初期盆栽趣味の諸相」について論文の課題をテーマにした発表を行った。 研究分担者の塚本(東京大学)は、「近代の文人絵画運動とそのマニュアル化」と題した発表を行い、近代文人画(南画)運動とその一般層への普及について考察を進めている。そして、『南画鑑賞』と関連書籍を購入し、出版および雑誌類から漢学愛好者の情報整理を試みた。 研究分担者の歌川(聖路加国際大学)は、ロバート・ステビンスによる「シリアスレジャー」が、戦後日本の社会教育・生涯学習実践や、研究におけるレクリエーション・余暇活動のカテゴライズに与える示唆について報告した。鶴橋泰二『趣味大観』等の資料データベース化については第3部「現代代表令嬢総覧」について188頁分、346人分の取り纏めを行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍により対面による調査を控え、海外渡航調査などが出来なかったが、予算を資料収集への使用に切り替えて研究を続けた。研究代表者、研究分担者は「美術と盆栽」「漢学と愛好者」「生活文化・余暇活動(交友会雑誌)」等の基礎資料の収集を進め、研究会を通して考察を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は、コロナ禍により、取材や海外渡航調査は制限があると考えられるので、引き続き基礎資料の収集とデータ分析に努める。「美術と盆栽」「漢学と愛好者」「余暇・レジャー(交友会雑誌)」それぞれの課題を維持したまま、総括となる研究会の開催や、成果物への集約を進める。
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Causes of Carryover |
物品の購入に充てた金額のうち、682円の残額が発生した。このまま次年度に繰り越して使用する予定である。
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