2021 Fiscal Year Research-status Report
The Lydian Chromatic Concept and Toru Takemitsu
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19K00141
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
宮川 渉 明治大学, 情報コミュニケーション学部, 特任准教授 (10760051)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 武満徹 / 音楽理論と実践 / リディアン・クロマティック・コンセプト / 現代音楽 / 細川俊夫 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度はコロナ禍で本研究を進めることが困難であった。本研究では特にアメリカで調査を行うことがひとつの重要な課題であったが、これをこれまで実現することができなかった。また国内の芸術大学の図書館などでの調査が行えないことは、本研究を進める上で大きな障害となった。可能な範囲で研究を進めた中で、ジャズ・ミュージシャンの藤原大輔によるリディアン・クロマティック・コンセプト(以下LCC)に関するオンライン講座を受講することができたことは大きな収穫であった。この講座により、文献などの資料のみでなく、具体的な楽曲分析などを通じて、LCCに関する理解が深まった。同時に武満徹作品へのLCCの影響を明確化するために研究を進めた。この研究結果をまとめて、現在論文を執筆しており、学会誌に投稿する予定である。また武満が1950年代後半に作曲した《弦楽のためのレクイエム》の楽譜の改訂版が出版されるために、この作品に関する文章をフランス語に翻訳する依頼を受け、国内外の武満研究者数名と議論を交わしながら、作業に取り組んだ(2022年度中に出版予定)。 またソルボンヌ大学音楽学研究所IREMUSの研究員Liao Lin-Niから細川俊夫の笙のための作品に関する講演を依頼され、フランス国立音響音楽研究所(IRCAM)でオンラインを通じて講演を行った。この講演を準備する上で、細川にインタビューを行い、このインタビューの内容はカナダの学術誌に掲載される予定である(2022年5月に出版予定)。これらの講演やインタビューなどを通じて得られた情報をもとに論文を執筆し、学会誌に投稿した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2021年度はコロナ禍で本研究を進めることが困難であった。特に国外で調査を行うことができないこと、国内の芸術大学の図書館などでの調査が行えないことは、本研究を進める上で大きな障害となった。そのため、移動を伴わずに進めることが可能な作業を中心に研究に取り組むようにした。
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Strategy for Future Research Activity |
「研究実績の概要」で記したように、細川俊夫作品研究にも携わることになった。その中で、コロナ禍においてこの研究が国内で行え、比較的に進めやすいことが分かり、この研究も同時に取り組むことに決めた。細川は武満に大きな影響を受けた作曲家であるため、細川作品研究は本研究を進める上でも役に立つと考えられる。特に細川の旋法の使用方法について調査しているが、旋法は武満作品の重要な特徴であり、武満がリディアン・クロマティック・コンセプトに関心を持った理由のひとつでもある。これらの研究を通じて、20世紀後半以降における様々な音楽家の旋法へのアプローチを明らかにすることに努めたい。
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Causes of Carryover |
コロナ禍で予定していた国外での調査が行えないこと、国内外の出張ができないことなどから次年度使用額が生じた。2022年度には本研究と同時に新たな研究も進める予定であり、資料収集などのために使用する予定である。
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