2023 Fiscal Year Annual Research Report
The Lydian Chromatic Concept and Toru Takemitsu
Project/Area Number |
19K00141
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
宮川 渉 明治大学, 情報コミュニケーション学部, 特任准教授 (10760051)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 武満徹 / リディアン・クロマティック・コンセプト / 音楽理論と実践 / 細川俊夫 / 作曲 / 雅楽 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、作曲家武満徹がリディアン・クロマティック・コンセプト(以下LCC)という主にジャズで用いられる理論をいかに応用しているのかを明らかにすることである。本研究を通じて、武満の作曲技法をより明らかにすること、またLCCの理解を深め、これがジャズ以外のジャンルにおいても有効な理論になりうるかを解明することなども期待した。しかし、新型コロナウイルス感染症流行により、予定していた国外での調査や国内の図書館などでの調査を行うことが困難になり、研究の方向性を見直す必要が生じた。その結果、武満作品研究に関しては、自身で進めることが可能な研究に取り組み、それ以外に新たに細川俊夫作品研究を開始した。 武満作品研究に関しては、LCCの影響が大きいとみなされている作品、《地平線のドーリア》の分析に取り組み、その成果をまとめた論文を2022年度に日本音楽表現学会に投稿し、出版された。この論文を通じて、武満がLCCを雅楽などと関連づけて独自の形で応用していることが明らかになった。 細川作品研究に関しては、この研究を通じて大きな成果が得られたと考えている。特に細川作品の音高システムはこれまで明らかになっていなかった点が多かったが、オクタトニック・スケールが1990年代後半以降に彼にとっての「調性のようなもの」であることを1990年代の作品を分析することによって明らかにした。この研究結果は学術誌に投稿し、受理された(2024年10月に出版予定)。また2023年5月に武満と細川の作品研究に関する発表をフランス国立音響音楽研究所で行い、さらに同年6月にパリのInstitut national d'histoire de l'artにて行われた学会に参加して、細川のリズムの考え方に関する発表を行った。
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