2022 Fiscal Year Annual Research Report
庭園における観察者の身体とオブジェクト群の空間的パターン動態の分析
Project/Area Number |
19K00152
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Research Institution | Kyoto University of Education |
Principal Investigator |
山内 朋樹 京都教育大学, 教育学部, 准教授 (10769318)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 石組 / 庭 / フィールドワーク / 庭師 / 作庭 / 庭園 / 観音寺 / 大聖院庭園 |
Outline of Annual Research Achievements |
庭における石組は多くの場合、物が物と関係しあう造形的な構成として見られるのではなく、特定の図像(虎の子渡し、三尊仏、鶴亀等)として読まれることが多い。しかしながら、石組をはじめとして園内に配置される石や植物や構造物は、その図像的な「深み」において読解する前に、その手前で等閑視されている造形的な「浅み」においても見ることができるのではないだろうか? こうした問題設定を背景に、本研究は京都府福知山市の丹州観音寺をフィールドに定め、庭師古川三盛率いる職人たちによる大聖院庭園の改修プロセスに初日から同伴し、その作業を逐一スケッチ、メモ、写真、動画等々を駆使して記録し、適宜住職や親方や職人たちにもインタビューをおこないながらまとめた。石のちょっとした配置換えや職人たちの些細な会話さえも克明に記録することで、実際の庭が、現場で具体的にどのようにかたちづくられ、変容し、生まれ直していくのかについて徹底して迫ることができた。 最終年度におこなったのは、基本的には上記記録と分析を文章に起こし、外部に発表することだ。この文章は「庭のかたちが生まれるとき」というタイトルで、フィルムアート社ウェブサイトに12回にわたって連載された(http://www.kaminotane.com/series/18302/)。また、記録として現地の精確な平面図も作成しており、大幅な加筆修正をおこなった連載原稿とともに、2023年夏に書籍として刊行予定である。
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