2021 Fiscal Year Research-status Report
思想としてのファッション─20世紀後半の芸術における身体表象との関係から
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19K00155
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
平芳 裕子 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 准教授 (50362752)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ファッション / ファッションデザイン / 洋服 / 和服 / ミュージアム / 日本 / 民俗衣服 / 民族衣装 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は20世紀後半において「思想としてのファッション」がいかに生成し、ファッションとアートの接合という現代的状況がもたらされたのかを考察するものである。昨年度の研究計画の変更により、年次ごとの調査ではなく、研究対象および文献資料に即した調査を行った。本年度は20世紀前半から後半にかけて、洋服やファッションデザインの発展とともに、衣服を研究するという視点がいかに生成・発展したのかという問題について、服飾作品の実見調査や関連資料の文献調査を実施した。服飾作品および雑誌・写真資料については、島根県立石見美術館、国立新美術館、文化学園服飾博物館、京都府立京都学・歴彩館等において実見調査を行った。また文献調査に関しては、コロナの感染拡大防止による閲覧制限のため、主にデジタルコレクションやデータベースでの調査を国立国会図書館を中心に行った。特に地理学者であった田中薫に着目することによって、戦前から戦後にかけての和服から洋服への変化の時代における衣服研究の実態について調査を進め、資料の読解を行った。田中薫は、地理学の探求のなかで世界各地の衣服という主題に関心をもち、民俗衣服への探求から日本の衣服の位置付けを試みた。そして民俗衣服の収集と保存を通して、学問としての衣服学を確立しようと試み、民俗衣服博物館を構想した。この一連の調査に関する成果を「田中薫と民俗衣服ー地理学から衣服学へ」と題した研究としてまとめ、服飾美学会全国大会における学会発表を行った。また学会誌『服飾美学』への論文投稿を行い、同タイトルの査読付き論文として採用された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウィルスの感染拡大防止のため、各研究機関・美術館・図書館などにおける資料閲覧制限が継続されていたため。
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Strategy for Future Research Activity |
研究期間を延長したため、今後も残された資料の調査と整理を進めて研究を推進したい。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染拡大により、資料の閲覧制限が継続されたために、次年度使用額が生じた。研究期間を一年延長したために、今年度使用予定であった金額をそのまま次年度に使用する計画である。
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Research Products
(4 results)