2019 Fiscal Year Research-status Report
Japanese Buddhist Music in Transnational Contexts - The Globalization of Religion, Culture and Spirituality
Project/Area Number |
19K00160
|
Research Institution | International Christian University |
Principal Investigator |
GILLAN Matthew 国際基督教大学, 教養学部, 教授 (50468550)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大内 典 宮城学院女子大学, 教育学部, 教授 (50213632)
遠藤 美奈 沖縄県立芸術大学, 付置研究所, 研究員 (80772780)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 仏教 / 近代仏教 / 尺八 / 声明 / 讃仏歌 / 仏教讃歌 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は研究会(大澤絢子「近代仏教としての文学 キリスト教と親鸞と 」2019年12月6日、ICU宗教音楽センター)を催したほか、各個人による調査を次の通り行った。 ギランは、北米での尺八音楽の受容についての分析を行い、主に1918年よりカリフォルニアで活躍していた普化尺八の演奏者の玉田如萍の経歴についての調査を行なった。ニューヨーク公共図書館に保管されている玉田の手紙や他の資料を調べ、玉田がヘンリー・カウエル、ジョン・ケージなど、米人作曲家との交流を探った。また、玉田と北米の仏教界との交流を明らかにした。研究結果を東洋音楽学会の大会で発表を行なった。 大内は、明治初期に来日した欧米人の証言を分析することから、当時の仏教音楽に対する欧米人の関心・理解を探ることと、「近代化」を潜った仏教音楽の姿としての「鑑賞」される声明のあり方の事例収集に取り組んだ。明治期に出版されたTransactions of the Asiatic Society of Japan、総計50号の紀要には、507本の報告・論文が収録されている。題材は、歴史、地理、紀行、気候・地学、動植物の生態、鉱物、温泉、宗教・信仰、習俗、文学など広範である。宗教に関する報告・論文は52本で、そのうち仏教を扱ったものは17本。また音楽を扱った論文は5本。異国の宗教文化への理解は精度が高いが、いずれの中でも仏教音楽に触れたものはない。 遠藤は、国内の本山における讃仏歌(仏教讃歌)の実践状況について、浄土真宗本願寺派を例としてまとめ、第13回中日国際音楽比較研究学会で発表を行った。ハワイでは現地調査を行い、浄土真宗本願寺派のGatha Festival(ハワイ島)を参与かんさつし、浄土真宗本願寺派(4版)、日蓮宗(1版)、真言宗(2版)の楽譜集を確認し入手した。次年度は各宗派の収録曲の分析に取りかかる予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
*新型コロナウイルスの影響で2月の研究会、3月の国内調査などが中止になった。2020年度に行う予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
ギランは北米での尺八音楽の受容をさらに分析するため、ロサンゼルスでの調査を予定している。おもに1970年代より米国で活躍していた海童道などの尺八奏者の経歴を、インタビューや資料収集で行うよていである。 大内は、宗門系大学等のカリキュラムを分析することから、明治以降の僧侶教育における「声明」の位置付け、宗門の方針による差異を検討する。 遠藤はハワイで収集した各宗派の讃仏歌のレパートリーや楽譜の分析を行い、各宗派の独自性について考察を行う。また日本でのそれらの位置づけとの相違等を含め、再度ハワイにて調査を行うつもりである。 2020年度には2019年度内に中止となった研究会の開催、また最初の計画書にあった研究会を開催する予定。2021年3月に国際シンポジウムも予定している。ただし、新コロナウイルスの状況により2021年度に延期する可能性ある。
|
Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大防止のため、予定していた研究会の開催を断念した。 開催に関わる諸経費は、次年度の開催に繰り越すこととした。
|