2020 Fiscal Year Research-status Report
Japanese Buddhist Music in Transnational Contexts - The Globalization of Religion, Culture and Spirituality
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19K00160
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Research Institution | International Christian University |
Principal Investigator |
GILLAN Matthew 国際基督教大学, 教養学部, 教授 (50468550)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大内 典 宮城学院女子大学, 教育学部, 教授 (50213632)
遠藤 美奈 沖縄県立芸術大学, 音楽学部, 准教授 (80772780)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 仏教 / 音楽 / 日本 / 越境 / 讃仏歌 / 声明 / 尺八 |
Outline of Annual Research Achievements |
ギランは、明治後期から昭和初期までの新聞や雑誌にみられる普化宗の復活運動を調査した。特には小説家の中里介山が中心となっていたコミュニティーであった隣人会の活動を考察し、その会の月刊紙『隣人之友』に尺八家の高橋空山が掲載した記事を分析した。多くの文献で見たように、中里の宗教観はトルストイなどの普遍主義の影響で様々の宗教や宗派の越境を意図的に試みていたことがわかった。また、高橋は中里の社会的地位を借りて、旧普化宗の鈴法寺の復活、また普化宗自体を生きた宗教団体としての復興を目指していたことがわった。 大内は、明治初年から大正期にかけての、来日欧米知識人の記録、日本の音楽教育界の動きを分析することから、仏教音楽に対する認識の変化を追った。東京音楽学校に1907年、邦楽調査掛が設置されたが、その経緯と展開に近代日本における声明の扱いが現れる。邦楽取調掛は、1910年に大原声明の竹内道忍を招いての実演会、1913年には同氏の実唱の録音、1916年に「雅楽及声明図書展観」開催、1917年に新義真言宗瑜伽教如を講師としての講習会等で声明を扱い、田辺尚雄など研究者の関心を喚起した。こうした「音楽」としての声明への関心は、高野辰之らの歌謡研究と交流し、やがて西洋の文化史研究を範とした仏教文化史研究へ引き継がれた。 遠藤は、アメリカやハワイの日系仏教寺院を中心に歌われてきた讃佛歌の広がりとその実態を明らかにするため、戦前の日系新聞を用い使用される場や曲名を可能な限り抽出し分析した。讃佛歌は、1920年代には「聖歌」や「ヒ(シ)ム」(=hymn)として親しまれ、とりわけハワイ諸島では宗派を超えて歌える歌として、多様な日系仏教宗派の「教義」と絶妙な関係性を保ちながら日系仏教徒としての連帯感を醸成していた可能性が高いことがわかった。 具体的な内容は、東洋音楽学会第71回大会で報告を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2021年3月に開催する予定の国際シンポジウムは、COVID-19の影響で2021年9月に延期することにした。また、ギラン、遠藤の海外での研究調査も同じ理由で行うことができなかった。可能だったら2021年度に海外調査を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年9月に国際シンポジウムを開催する予定である。 可能であれば2020年度に計画していた海外調査(ギラン、遠藤)、または国内調査(大内、ギラン)を行う予定である。
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Causes of Carryover |
予定していた国際シンポジウムや海外での研究調査が行えなかったため。 2021年度には国際シンポジウム、国内調査、海外調査(COVID-19の状況による)を計画している。
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