2021 Fiscal Year Research-status Report
フォンテーヌブロー派における北方絵画の影響について
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19K00174
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Research Institution | Bunsei University of Art |
Principal Investigator |
田中 久美子 文星芸術大学, 美術学部, 教授(移行) (70222114)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | フォンテーヌブロー派 / ノエル・ベルマール / ジャン・クーザン / フランドル絵画 |
Outline of Annual Research Achievements |
フランソワ一世の治下、どのようにフランドル絵画が影響を及ぼしたのかを以下の二つの観点から考察した。1)フランソワ一世が収集したフランドル絵画、2)パリにおけるフランドル出身の画家たちの活躍。 1)フォンテーヌブローを訪れたピエール・ダンは8点のフランドル画家による風景画を見たと語っている。フォンテーヌブロー派の版画には北方絵画に由来する多くの風景画が存在しており、フランソワ一世のフランドル絵画のコレクションを想像させる具体的な作例が存在している。また、フランソワ一世が北方から購入した作品についての記録が残っており、主題が記されており、現存するフランドル絵画からどのようなものかを推定することができる。上記の作品についての具体的な考察をおこない、先行研究を参考にできる限りの作品同定を試みた。 2)16世紀初頭のパリで活躍した北方出身の芸術家たちについては研究の緒についたばかりで、帰属についても不明瞭なものも多いが、とりわけ、フランソワ一世の治世にパリの美術界を支配していたのはノエル・ベルマールである。今年度はベルマールの板絵に注目した。サン・ジェルヴェ・サン・プロテ教会の≪受難の祭壇画≫、ナンシー美術館に所蔵されている三連祭壇画の両翼、バール美術館の≪マギの礼拝≫などがパリで制作されたものである。作品の様式分析と他の作品との様式比較からベルマールの出身地であるアントウェルペンの画家たちの共通性を見出すことができる。 16世紀のフランスの美術はイタリア美術が接ぎ木され独特なフランス絵画へと醸成されてゆくというのが定説だが、パリにイタリア人芸術家たちが流入するのは1530年以降になってようやくのことである。それ以前にパリの美術界を支配していたのは、ノエル・ベルマールが植え付けたアントウェルペンのマニエリスム なのである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナウイルスの流行のため、当初計画していた海外調査を行うことができなかったのが大きな理由である。延長を認められたため、今年、当初計画していた海外調査を実施する。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続きパリで活躍したフランドルの画家、ノエル・ベルマールの調査研究を写本を中心に行う。どのようにフランドル美術がパリのなかで変容していったのかを実証するのが主要な関心である。また、フランス人画家ジャン・クーザンのパリの時代についても研究を行い、ベルマールとの関係を考察する。 次に、北方の画家だがフランスでも数々の作品を制作したヨース・ファン・クレーフェに注目する。北方の絵画がフランスにおいていかなる変容を遂げるのか、フランス的なるものとは何かを考察の対象としたい。 今年度は最終年度となるため、報告書を作成する予定である。
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Causes of Carryover |
コロナウイルス流行のために、海外調査を行うことができなかった。延長申請が認められ、2022年度に研究を続行する予定である。
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Research Products
(1 results)