2023 Fiscal Year Annual Research Report
Reconsideration on the attribution of the Leonardeschi paintings with IR images
Project/Area Number |
19K00178
|
Research Institution | Tokyo Zokei University |
Principal Investigator |
池上 英洋 東京造形大学, 造形学部, 教授 (00409806)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 帰属問題 / レオナルド・ダ・ヴィンチ / レオナルド派 / 赤外線撮影 / 下絵 / 美術史 / ルネサンス / イタリア美術 |
Outline of Annual Research Achievements |
課題研究の最終年度にあたる五年目の研究実績は、一昨年度までの遅れをほぼ問題がない程度に取り戻し、おおむね当初の計画通りの結果を得ることができました。以前の遅れの原因は、五年計画の二年目にあたる2020年度に、本来であれば海外で実作品の調査にあたる予定だったところ、コロナ禍による対象国のヴィザ発給停止などでまったく遂行できなかったためでした。 しかし所属先大学では2022年度に一年間研究休暇(サバティカルイヤー)をいただき、日本及び関係国のコロナ禍状況の回復にあわせて、赤外線撮影用機器による現地調査および資料収集をおこなうことができました。調査をおこなったのは、フランス(複数)、イギリス、スペインの、それぞれの個人オーナーが所有する、レオナルド派の帰属問題を抱えている絵画作品が対象です。このうち、フランスで一次調査をおこなったなかの、パリにあるCC ART 文化財保存センター保管の、一般オーナーグループが所有する作品に関しては、赤外線撮影写真によって判明した下絵が(彩色層に比べて)明らかに古く、かつ質が高いものだったので、あらためて細部調査と材質・支持体・顔料をよりこまかく調べる二次調査を2023年度におこないました。 現在、上記の作品の調査結果の分析のまとめと並行して、これまで収集した資料の整理をおこなっているところです。また、上記のほかに、所属先大学の図書館の協力を得ながら、原史料レプリカ群の収集もおこないました。これは新規で撮影した作品群との比較調査をおこなうために有益な資料で、これについても現在整理をおこなっている最終段階にあります。 全期間を通じて、赤外線撮影調査をおこなったうち、帰属判定で有益な結果が出た作品は多くありませんでしたが、それでも、赤外線撮影による下絵調査が帰属判定に有益であること自体が結果として証明できたことは、本研究課題の一番の成果と言えると思います。
|