2019 Fiscal Year Research-status Report
Camouflage and its Context: Modern Artistes engaged in the Effort of the World War I and II
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19K00179
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Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
河本 真理 日本女子大学, 人間社会学部, 教授 (10454539)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | カモフラージュ / シュルレアリスム / ローランド・ペンローズ / リー・ミラー / 第二次世界大戦 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和元(2019)年度は、第一次世界大戦時のフランスのカモフラージュに関しては、国防史編纂部で資料調査を行い、第一次・第二次世界大戦時のイギリスのカモフラージュに関しては、帝国戦争博物館のアーカイヴと、ローランド・ペンローズの子息アントニー氏が運営管理するリー・ミラー・アーカイヴズで調査を行って、アントニー氏らと意見を交換した。 イギリスのシュルレアリスムを牽引した芸術家ローランド・ペンローズは、第二次世界大戦時にカモフラージュの研究と教育に携わっている。ペンローズは1939年9月に、他の画家たちとともに、産業カモフラージュ研究ユニットを立ち上げた。その研究の過程で制作されたカモフラージュの模型の一つが、ペンローズの恋人であり後に妻となる写真家リー・ミラーが『ヴォーグ』誌のために撮影したモード写真に「オブジェ」として使用されていることが判明した。また、リー・ミラー自身がペンローズに協力してカモフラージュを実演した写真の中には、明らかにエドゥアール・マネの《草上の昼食》を意識してパロディー化したセッティングのものがある。このように、ペンローズとミラーをめぐって、カモフラージュ/芸術/モードが交錯する様相の一端が浮かび上がってくるのだ。 なお、第一次世界大戦時にカモフラージュに従事したフランスの芸術家たち(アンリ・ブシャール、シャルル・デスピオ、アンドレ・デュノワイエ・ド・スゴンザック、ポール・ランドウスキ)の「その後」について、彼らが占領期にコラボラシオンの一環として参加したドイツ視察旅行(1941年)に着目し、「〈岐路〉に立つ仏独の芸術家―第二次世界大戦時のフランスにおけるコラボラシオンと収容」と題して、国際シンポジウム「第二次世界大戦期のフランスをめぐる芸術の位相」で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和元(2019)年度は、第一次世界大戦時のフランスのカモフラージュに関しては、国防史編纂部(Service historique de la defense)で資料調査を行い、第一次・第二次世界大戦時のイギリスのカモフラージュに関しては、帝国戦争博物館(Imperial War Museum)のアーカイヴと、ローランド・ペンローズの子息アントニー氏が運営管理するリー・ミラー・アーカイヴズ(Lee Miller Archives)で調査を行って、アントニー氏らと意見を交換できたのが大きな収穫であった。この調査で得られた貴重な資料や知見をもとに、カモフラージュと芸術/文化の多様な関わりについて考察を深めることができた。 したがって、全体としては、おおむね順調に研究は進捗していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画に従い、令和2(2020)年度は、第一次・第二次世界大戦時のアメリカのカモフラージュと、第二次世界大戦時の日本のカモフラージュについて調査を行う。ただ、新型コロナウイルス流行などで海外渡航ができない場合は、令和3(2021)年度に渡航することも視野に入れる。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス流行のため、春休みに予定していた調査ができなくなったため。次年度は、図書の購入額を増やす。
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