2023 Fiscal Year Annual Research Report
中国南北朝~唐時代における道教礼拝像の地域性研究:河東(山西省西南部)を中心に
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19K00188
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Research Institution | Administrative Agency for Osaka City Museums |
Principal Investigator |
齋藤 龍一 地方独立行政法人大阪市博物館機構(大阪市立美術館、大阪市立自然史博物館、大阪市立東洋陶磁美術館、大阪, 大阪市立美術館, 主任学芸員 (70573385)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 道教 / 道教美術 / 中国美術 / 中国彫刻史 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度も引き続き、山西・河東そして関連する地域の道教像さらには仏像の検討をすすめた。これまでに、道教像の定型化すなわち主尊に冠・麈尾そして凭几が備わる事象が、北周ではなく、より早い西魏の河東で始まることを明らかにしたが、ここで懸案として残っていたのが、先学が道教像の代表例として提示する、北周・天和3年(568)銘 道教三尊像(東京藝術大学大学美術館)の制作地についてである。本像は西安に長期滞在し多くの美術品を収集した早崎梗吉が日本に将来したものであるが、その制作地について言及されたことはなかった。また収集地と像の制作地が直結するとも考えられず、あらためて本像について検討を試みた。その結果、本像に近いすがたの道教像は陝西や四川、河南では確認することができず、その一方、山西の河東に分布することが明らかとなった。そのため本研究での現時点の結論としては、北周・天和3年銘 道教三尊像は、山西・河東で制作されたとした。 このように定型化をみた道教像は西魏の山西・河東にはじまり次第に他の地域へ波及すると共に、明・清にいたるまで通用する図像的特徴となった。つまり道教像においては、長安や洛陽といった大都市において創始され地方へと影響を与えたのではなく、地方で生み出された図像的特徴が他の地域そして大都市の像に大きな影響を与えるという構図を読み解くことができた。 本研究成果を含めた、地域性をはじめとする中国南北朝時代から隋・唐時代の道教像における諸問題についての考察結果を、『中国道教像研究』(法蔵館、2023年)として出版した。
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Research Products
(1 results)