2020 Fiscal Year Research-status Report
Iconological Study of the sculptures of Baccio Bandinelli
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19K00191
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
甲斐 教行 茨城大学, 教育学部, 教授 (60323193)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | バンディネッリ / 彫刻 / クレメンス七世 / 図像解釈 / 人文主義 / パトロネージ |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はコロナ禍により予定したイタリア渡航が実施できなかったが、昨年度までに収集した資料をもとに、彫刻家バンディネッリに関する根本問題と向き合い、二本の論文発表を実現した。バンディネッリが晩年に起草した『素描の書』を、同時代のヴァザーリ『美術家列伝』やアントン・フランチェスコ・ドーニ『素描』と比較しつつ、『素描の書』の独自性とバンディネッリの実作品との関連性についても検討した「バッチョ・バンディネッリの芸術思想―『素描の書』を中心に―」(『五浦論叢』〔茨城大学五浦美術文化研究所紀要〕, 27号, 2020年, pp.85-99)と、同論文執筆の過程で派生した、バンディネッリに対する二大巨匠の影響について論じた「バッチョ・バンディネッリの美術理論―レオナルドとミケランジェロとの関係を中心に」(『茨城大学教育学部紀要(人文・社会科学、芸術)』, 70号, 2021年, pp.41-53)である。 また、バンディネッリの前半生におけるパトロンであったジュリオ・デ・メディチ枢機卿(後のクレメンス七世)に捧げられたクリストーフォロ・マルチェッロの対話篇『運命について(De fato)』(1519年)の研究を進展させた。主要登場人物ユリダスがジュリオの分身であることから、ユリダスの発言の検討がジュリオひいてはバンディネッリの属する人文主義的環境の理解を助けると考えた研究代表者は、同写本がキケロ、プラトン、アリストテレスを参照しながらも、大枠としてプロティノスの問題提起に沿った構成であり、結論部でユリダスがプロティノスを自己の拠りどころとみなしているという見解に至った。本研究の成果は次年度の『五浦論叢』28号に掲載予定である。 これらに加え、騎士に叙任されたバンディネッリの属する文化圏の理解のため、西欧中世からルネサンスに至る騎士道文学を検討し、その精神的伝統についての分析にも着手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍により本年度に予定したイタリア渡航が実施できず、クレメンス七世に関する資料調査、バンディネッリ作品の現地再調査ができなかった。しかしその一方、前年度までに収集した資料を活用し、バンディネッリが晩年に起草した『素描の書』の検討を中心とした論文を二本公刊することができた点、バンディネッリのパトロンであったジュリオ・デ・メディチ枢機卿(後のクレメンス七世)に捧げられた写本『運命について』の研究を進展させることができた点については、おおむね順調に進展したといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度である次年度は、イタリア渡航による文献調査と現地調査を再開し、特にクレメンス七世生前にバンディネッリのもとで計画が練られていたものの、正式なバンディネッリへの発注は教皇没後となる《レオ十世墓碑》《クレメンス七世墓碑》(ローマ、サンタ・マリア・ソプラ・ミネルヴァ聖堂)の典拠に基づく図像解釈を実施し、クレメンス自身の晩年の文書調査において図像内容に即した主張を探索することにより、同作品がクレメンス自身の霊的主張を引き継ぐ内容をもっていたという仮説を実証したい。
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Causes of Carryover |
本年度はコロナ禍により予定していたイタリア渡航が実施できず、旅費として計上した予算を使用することができなかった。次年度は、イタリア渡航による文献調査と現地調査を再開し、フィレンツェの国立中央図書館、ローマのヴァティカン文書館を中心に、クレメンス七世の晩年の文書調査を実現したい。クレメンス七世生前にバンディネッリのもとで計画が練られていたものの、正式なバンディネッリへの発注は教皇没後となる《レオ十世墓碑》《クレメンス七世墓碑》(ローマ、サンタ・マリア・ソプラ・ミネルヴァ聖堂)の典拠に基づく図像解釈を実施することにより、同作品がクレメンス自身の霊的主張を引き継ぐ内容をもっていたという仮説を実証したい。
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Research Products
(2 results)