2021 Fiscal Year Annual Research Report
Iconological Study of the sculptures of Baccio Bandinelli
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19K00191
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
甲斐 教行 茨城大学, 教育学部, 教授 (60323193)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | バンディネッリ / 彫刻 / クレメンス七世 / 図像解釈 / 人文主義 / パトロネージ |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年8月中旬から9月下旬までイタリアでの研究滞在を実施した。バンディネッリの前半生におけるパトロンであったクレメンス七世(1478-1534年)が没する直前に依頼し、没後に遺言執行人たちとの間で契約が締結された《レオ十世墓碑》《クレメンス七世墓碑》についての研究に着手した。フィレンツェ美術史研究所で関連文献の入手と検討を開始し、従来十分な解釈がなされていなかった浮彫場面について典拠に基づいて解読を行った結果、一定の仮説に到達した。フィレンツェ国立中央図書館で、仮説をを裏付けるために有益な歴史資料を調査し、クレメンス七世の勅書を入手、フィレンツェで活動する文献学者ヴェロニカ・ヴェストリ氏の協力の下で読解を行った。 また、前年度より研究を進めてきた、枢機卿時代のクレメンス(ジュリオ・デ・メディチ)に捧げられたクリストーフォロ・マルチェッロの対話篇『運命について(De fato)』(1519年)の研究を、「クリストーフォロ・マルチェッロ『運命について』とその典拠をめぐる考察」(『五浦論叢』、28号、2021年、pp.21-38)として発表した。主要登場人物ユリダスがジュリオの分身であることから、ユリダスの発言の検討がジュリオひいてはバンディネッリの属する人文主義的環境の理解を助けるという前提に立ち、同写本がキケロ、プラトン、アリストテレスを参照しながらも、大枠としてプロティノスの問題提起に沿った構成であり、結論部でユリダスがプロティノスを自己の拠りどころとみなしているという見解を、具体的な引用に即して指摘した。
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Research Products
(1 results)