2023 Fiscal Year Annual Research Report
ユダヤ美術の生成・発展をめぐる研究――移動・越境する共同体の視覚文化――
Project/Area Number |
19K00199
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
加藤 磨珠枝 立教大学, 文学部, 教授 (40422521)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ユダヤ教美術 / シナゴーグ / ローマ美術 / キリスト教考古学 / 古代末期 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は研究期間を1年間延長した最終年度にあたり、所属機関から海外研究休暇を取得できたため、長期間ローマに滞在し、美術史・考古学の学術的伝統を誇るフランス学術院(Ecole francaise de Rome)およびヘルツィアーナ図書館(マックス・プランク美術史研究所)を拠点に研究に従事した。都市ローマは古代以来、ユダヤ人居住区が栄え、ユダヤ人共同墓地も複数確認されており、また、帝都の港オスティア・アンティーカにはヨーロッパ最古のシナゴーグ遺跡(1~2世紀頃)も現存するため、これらの現地調査を進めると同時に、ヴァティカン美術館所蔵のユダヤ教関連作品の調査も行った。これまでの成果をまとめた初期ユダヤ教美術に関する研究書の執筆は継続中であるが、その成果の一部は、2024年に出版予定の『西洋中世文化事典』(丸善出版)、2024年5月に開催される第77回美術史学会全国大会の講演「一千年紀のユーラシア宗教美術史―キリスト教と仏教を中心に:西洋中世美術からの再解釈―古代ローマの遺産、ユダヤ、イスラーム」にて発表が決定しており、本講演テキストも2024年度内に刊行の予定である。 この他、研究期間全体を通じた研究成果として、2019年から準備を進めてきた国際美術展の実現が挙げられる。ローマ市文化財監督局を代表するクラウディオ・パリージ=プレシッチェ氏と協力のもと、ローマ市美術館連合の作品コレクションからなる「永遠の都ローマ展」(於:東京都美術館、福岡市美術館、主催:毎日新聞社、NHK)を、日本側監修者として企画、実現した。この展覧会では、広く一般社会にむけて研究成果の一部を発信し、2023年9月には東京イタリア文化会館にて日伊合同講演会(イタリア大使館後援)を開催し、日本とイタリアの文化交流にも貢献した。
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