2019 Fiscal Year Research-status Report
Expansion and succession of Perugino style in Renaissance Italy
Project/Area Number |
19K00204
|
Research Institution | Kobe College |
Principal Investigator |
伊藤 拓真 神戸女学院大学, 文学部, 准教授 (80610823)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | ルネサンス美術 / 芸術地理 / ペルジーノ / ラファエロ |
Outline of Annual Research Achievements |
ペルジーノおよび工房に帰属される作品について、P. Scarpellini, Peruginoなどの主要先行研究の精査を行った。それらの分析をもとに、作品の一覧を制作・データ化し、今後の研究に備えた。 8月~9月にかけてイタリアに滞在し、現地での調査を行った。Kunsthistorisches Institut in Florenzにおける文献調査、フィレンツェにおける関連作品の調査、マルケ地方における関連作品の調査などを行った。CIHAにおいて関連セッションを聴講するとともに、参加した研究者との情報交換を行った。 12月に再度イタリアに滞在し、現地での調査を行った。Galleria Nazionale delle MarcheにおけるRaffaello e gli amici di Urbino展などの関連展覧の実見のほか、ロンバルディア地方およびその周辺における関連作品の調査を行った。 これらの調査の結果、ペルジーノの影響の及ぶ範囲について、当初想定していたものより一層多くの作品について分析の対象とする必要性が明らかとなった。フィレンツェ、ウンブリア地方など、直接的な影響力が顕著である地方については先行研究の一定の蓄積が見られるが、それ以外の地方においてはまとまった形での研究が乏しく、個別の作品についての丹念な調査が必要となる。また、ペルジーノといわれている作品にも質的な差異が大きく、これについては工房における関連画家の把握が今後の課題となる。また、マルケ地方におけるペルジーノ主義については、初期のラファエロの活動との関連から一定の知見を得られたことから、その内容の発表の準備を開始した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症の影響により、2019年度末からイタリアなどにおいて予定していた作品調査や関連展覧会の実見が行えない状況となっており、研究の進展に支障を来している。また、郵便などにも大きな影響が出ており、海外からの文献の入手にも支障を来すようになった。年度の半ばまでに主要先行研究を用いての基礎的な調査を終えた段階であったが、上記の理由によりその後の追加の分析を一部行うことができなかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
上述した新型コロナウイルス感染症に関連した状況は現在も続いており、今後の計画に大きな変更が必要となる可能性がある。特に、現状では海外における調査について、計画を立てることが困難な状況となっている。研究成果の一部を2020年5月の美術史学会で発表予定であったが、それについては12月に延期されることになった。 当初の2年目の計画にそって、ペルジーノの周辺画家についての分析を進めるが、当面は文献資料を用いての分析を行う。研究の進展には現地での作品調査が不可欠なため、今後の状況を見極め、必要に応じて計画に修正を加える。
|
Causes of Carryover |
夏期のCIHA参加などによって海外滞在の日数が増したため、旅費が当初計画していたよりも大きくなっていたため、年度の途中で前倒し請求を行った。その一方で、年度末の新型コロナウイルス感染症にともなう状況変化のため、海外からの文献資料の取り寄せなどができない状況になり、予定していた金額を使用できなくなり、結果として次年度使用額が生じた。予定していた文献資料購入は、現在の状況が改善次第、順次行う。
|