2020 Fiscal Year Research-status Report
Expansion and succession of Perugino style in Renaissance Italy
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19K00204
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Research Institution | Kobe College |
Principal Investigator |
伊藤 拓真 神戸女学院大学, 文学部, 准教授 (80610823)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ルネサンス美術 / 芸術地理 / ペルジーノ / ラファエロ |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の研究実績の内容は、おおきく二つに区分することができる。一つは、ペルジーノを中心とした関連画家の作品の分析であり、もう一つはペルジーノの名声の興隆とその退潮に大きな影響を及ぼしたと考えられるラファエロの活動との関連の考察である。 関連作品の分析については、世界的な新型コロナウイルス感染症の流行のために現地における調査活動が行えなかったことから、文献を利用した作品情報の整理が中心となった。P・スカルペッリーニによる基本書をもとにしたペルジーノ作品の分析を継続するとともに、関連画家のモノグラフを用いた作品の情報の整理・分析を進めた。 ラファエロとの関係については、2020年に各地で行われた展覧会のカタログなどを用いた研究を進めた。昨年度からの調査の結果をまとめて、美術史学会全国大会において「初期ラファエロの活動におけるペルジーノのファーノ祭壇画の位置づけ」の発表を行った。同大会は、当初2020年5月に慶應義塾大学での開催が予定されていたが、新型コロナウイルス感染症の流行のために延期となり、同年12月にオンラインで開催された。同発表においては、生地ウルビーノおよびウンブリア地方を中心として活動していた初期のラファエロが、ペルジーノのファーノ祭壇画を早い段階から活用し、その結果として同祭壇画の周辺画家への普及が進んだことを論じた。現在、その発表の内容を発展させた論文を用意している。そのなかでは、フィレンツェ派の様式の影響が強いペルジーノの初期様式とその後の変化が、研究史上でラファエロとの関係においてどのように解釈されてきたかについての分析を拡充している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2019年度末から現在にいたる新型コロナウイルス感染症の影響により、研究の進捗は大幅な遅れを余儀なくされている。海外渡航が困難となり、関連作品の現地での調査や関連展覧会の実見が行えなくなったことはもちろん、開催自体が中止や延期となった展覧会や学会ものもあり、最新の研究の動向を把握することに困難が生じている。また文献調査についても、海外の図書館の利用が難しくなっている。 研究成果の発表という観点からも、小さくはない影響が生じている。本研究についても、研究成果の一部を当初2020年5月の美術史学会全国大会で発表する予定であったが、全国大会自体が12月に延期された。そのため、その口頭発表の内容の論文化も2021年度以降にずれ込むことになった。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画においては、2021年度は関連画家の作品調査を進めるとともに、美術批評や後世の画家による受容の検討を中心として行うことを予定していた。しかし、2020年度の新型コロナウイルス感染症の流行により、研究の進捗の見直しが必要となっており、今後の日本やイタリア、その他の地域における状況を見極めながら研究を推進するが、自体は流動的であり、時機を得た対応が必要になると考えている。 状況が改善に向かう場合は、昨年度行うことができなかった現地での作品調査および史料調査を行う。2020年度までの文献資料の精査によって問題を確認した作品を中心として調査を行う。 感染症の状況が改善しない場合は、引き続き文献調査を中心とした分析を続ける。その場合、作品調査に先立って、美術批評や校正の画家による受容の検討を開始する。 また、2021年度から研究代表者の所属が変更となったため、研究環境の再整備が一部必要となる。
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Causes of Carryover |
2020年度は新型コロナウイルス感染症の影響により現地調査が行えず、また学会などに必要な移動もなかったため、支出予定の大きな部分を占めていた旅費の支払いが行われなかった。また現地での作品調査の事前準備や事後の検討に必要と考えていた文献の購入も一部見合わせることとなった。そのため、次年度使用額が生じた。 今後、現地調査については状況が改善次第順次行っていく予定であり、それにあわせて文献資料の入手も進める。
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Research Products
(1 results)