2020 Fiscal Year Research-status Report
環南シナ海・インド洋海域が育む近世螺鈿の諸相と貝文化圏の構想―シェルロード
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19K00208
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Research Institution | Mokichi Okada Art and Culture Foundation (Curatorial Department) |
Principal Investigator |
内田 篤呉 公益財団法人岡田茂吉美術文化財団(学芸部), 学芸部, 業務執行理事 (00426438)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 環シナ・インド洋海域 / ベトナム螺鈿 / タイ螺鈿 / 螺鈿文化圏 / シェルロード / インド・ポルトガル美術 / 螺鈿 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、新型コロナウイルスが世界的に猛威をふるっている社会情勢から、海外渡航を前提とする南蛮交易の寄港地であるマラッカおよびクアラルンプールのイスラム美術館、終着地であるリスボン等の現地調査は中止した。このため、本年度は今後計画実施する現地調査や比較研究の材料として、日本と西洋の中間に広がる地域の交流史を捉えた文献史料の調査につとめた。 具体的には国内において刊行された環南シナ海・インド洋海域の東西交易史や、主要な寄港地における交易の実態に関する先行の文献史料研究に務め、初年度より蓄積してきた資料と加えて考察を深めた。これらの図書の内訳は、主眼とするテーマ別に記すと以下のようになる。 ①日本・東アジア地域全般に関わるもの(16冊)②朱印船貿易など日本、中国周辺の交易ルートをテーマとするもの(8冊)③キリシタン、陶磁器輸出など対ヨーロッパの交易ルートをテーマとするもの(10冊)④南西諸島(南島地域)をテーマとするもの(計5冊)⑤琉球・九州地域に関するもの(20冊)⑥貝の交易史について(6冊)⑦漆商に関する史料(1冊)、以上計66冊。 これらの図書刊行物群は、ヨーロッパの航海路上の地点における螺鈿工芸に焦点を当てた本研究の知見を補足しうるものである。なお、今回収集整理した図書および、一覧化したリストについては、今後の研究状況に応じて追加修正を加えて研究活動の中で利用し、今後の研究成果の発表の場において適宜、参考図書として紹介する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本年度で計画していた南蛮交易の寄港地であるマラッカ、南蛮交易の終着地であるリスポンなどの現地調査については、日本国内を含めた世界中で新型コロナウイルスが猛威を振るっている状況から、本研究において必須となる室瀬和美氏(無形文化財保持者)の技法調査に伴う安全性を考慮して、中止を余儀なくされた。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度実施できなかったマラッカ(マレーシア)、リスボン(ポルトガル)の現地調査については引き続き検討したい。マレーシアではマラッカにおける現地調査、クアラルンプールのイスラム美術館は事前の現地調査から南蛮漆器が所蔵されていることが判明しているので、その作品調査を実施する。ポルトガルにおいても事前の現地調査でリスボン国立博物館の木画書見台、ポルトガルの国立博物館の丸紋木画小箪笥及びソアレスドスレイス国立博物館のインド・ポルトガル美術に関連する漆工芸、木工芸の所在を確認しているが、新型コロナウイルス感染の安全性の状況を踏まえて、本調査予定であるインド等の現地調査については変更も検討したい。今後のコロナ感染状況を踏まえて、日本近隣および東南アジアを中心として研究領域の変更を図り、近世螺鈿の諸相と貝文化圏の生成プロセスの解明に取り組みたい。 なお、本研究の補助事業期間は令和3年度を最終年度としているが、本研究においては室瀬和美による技法調査が必須である。このため、新型コロナウイルスが猛威をふるっている昨今の情勢を鑑みながら、補助事業期間の延長をお願いしたい。
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Causes of Carryover |
(理由) 新型コロナウイルス蔓延下における国内外の渡航が難しくなった状況から、計画していた現地調査が本年度実施できなかった。これらの計画内容は次年度以降において執行予定である。 (使用計画) 【マレーシア調査旅費(内田ほか3名、925,891円)】:航空料金(407,091)/宿泊・食卓料(422,800/マレーシア国内移動費、日当(96,000)、【フィリピン調査旅費(内田ほか1名、248,360円)】:航空料金(102,560)/宿泊・食卓料(120,800)/フィリピン国内移動費(25,000)、【カンボジア調査旅費(内田ほか1名、397,180円)】:航空料金(251,380)/宿泊・食卓料(120,800)/カンボジア国内移動費(25,000)、【沖縄・那覇・奄美大島調査旅費(内田ほか1名、計4回、437,920円)】:航空料金(165,520)/宿泊・食卓料(212,400)/現地移動費(60,000)計\2009,351
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