2023 Fiscal Year Research-status Report
舞台芸術活動における聴覚障害者アクセシビリティ向上に向けた舞台手話通訳分析研究
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19K00214
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Research Institution | Tsukuba University of Technology |
Principal Investigator |
萩原 彩子 筑波技術大学, 障害者高等教育研究支援センター, 助教 (30455943)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 手話通訳 / 舞台芸術 / アクセシビリティ |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、模擬手話通訳映像の撮影および分析をさらに進め、撮影については、舞台手話通訳未経験者1名から新たに協力を得て模擬通訳を撮影した。撮影にあたっては、これまでの撮影と、事前準備の時間や撮影の条件(立ち位置、題材映像の流し方など)が同様の形になるように留意して実施した。 また、撮影した映像はアノテーションソフトELANを用いて細かな表現の違いなどについて比較分析を行なった。 特に、観客の視線をいつ手話通訳に向けさせ、いつ舞台の役者に向けさせるかといった「視線の誘導」に関する方略に着目して分析を行った。結果、場面の開始時に舞台に視線誘導を行う例が多くみられることが明らかになった。また、役者の特徴的な動作について、観客に「見せる」必要性を感じている点では通訳者間で共通していたが、方略としては、直接舞台に視線を誘導した例だけでなく、手話通訳に役者の動作を取り入れる例もみられた。場面開始時のように台詞がまだ始まっていないところでは舞台への視線誘導を行いやすいが、台詞がある場合は台詞そのものの通訳と舞台への視線誘導を同時に行うことができないため、通訳者間で方略に差が出ていたと思われる。 なお、このことについては、手話通訳学会にて発表した。 そのほか、撮影終了後に実施したインタビュー(事前準備として行なったことや表現の際の工夫、困難点などについて)について分析を進め、おおよそ傾向をまとめているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本来は2022年度で研究を終える予定であったが、協力者がなかなか見つからず2023年度後半に撮影になったため、計画が一部ずれこんだ。しかしながらこれまで撮影した映像については分析を終えており、これから聴覚障害者による評価を行って、最終的にまとめる予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
撮影した模擬通訳映像に基づき、聴覚障害者からの評価を収集する予定である。
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Causes of Carryover |
聴覚障害者への評価インタビューを2024年度に実施予定のため、次年度使用額が生じている。協力者謝礼や旅費、会場費等で支出予定である。
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