2021 Fiscal Year Research-status Report
美術館における社会的課題を踏まえた子ども対象のアート・プロジェクトのモデル化
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19K00215
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
神野 真吾 千葉大学, 教育学部, 准教授 (90431733)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 真帆 千葉大学, 教育学部, 准教授 (30710298)
縣 拓充 東北大学, 高度教養教育・学生支援機構, 助教 (90723057)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ワークショップ / 社会的課題 / SDGs / アートによる学び / 現代アート / ファシリテーター / ソーシャリィ・エンゲージド・アート |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は、新型コロナウイルスの状況にも改善が見られ、本研究がその中核に位置付けている子供を対象とした教育プログラムの実践にようやく取り掛かることができた。 取り組みとしては、いまだ感染状況は予断を許さないことから、オンラインを軸として、一部対面での実施という形式を模索し、また多くの子供を対象として行うリスクを鑑み、プログラム参加者を小学生一人にし、テストケースとしての実践とすることとした。被験者の選考は、千葉市美術館の協力も得て、子どもの関心意欲のみならず、保護者が本研究のテーマを理解してくれることを条件に選考を行った。 具体的には、「社会的課題」を子供本人の日常の生活での感性的な経験から掘り起こすことが、アート/美術を通して社会的テーマを扱う点で最重要だと本研究では考えているため、ファシリテート役の大学生がオンラインでのミーティング一カ月半、毎週3時間程度行い、被験者の小学生の日常での疑問や気づきを拾い、それがどのように社会的課題につながっているのかを考えることに時間をかけ、そこで深めた問題の本質をどのようにアウトプットするのかを考えていく流れを採用した。その過程、子どもの社会参加を作品とするアーティストにも関与してもらい、悪と正義の二項対立にならない短編ヒーロー・ドラマを子供と学生で制作することとし映像制作のみ対面で撮影を一日で行った。 単に教科書を覚えるのではない学びとして、大人(大学生)がファシリテートする形で、子どもの問題意識を掘り下げ、その背景にあるものを俯瞰的に捉え、その成果を表現するという流れが、より深い課題理解と、行動変容につながるという点が確認でき、次年度に研究推進する見通しが立った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初三年の計画であったが、新型コロナウイルスの感染拡大により、子どもを対象としたワークショップを2020年度に行うことができず、2021年度も一定数の参加者(被験者)を対象とした活動も難しかったため、その内容をテストケースとせざるをえなかった。その点で、計画は遅れている。 ただし、その状況から得られた成果として、オンラインで行えることと対面でしか行えないことの整理ができ、また、テストケースを経ることで、研究の方向性を確認、再検討することもできたため、ネガティブな状況の中、成果は少なくないと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナ対策の方向性もある程度明確化されてきているので、2021年度の成果を踏まえ、細かな進行過程の調整を行いつつ、より多くの参加者を対象としたプログラムを実施することで、研究の成果を確かなものとする。 また、その成果の分析と、それへの外部からの意見を求めるため、成果発表会およびシンポジウムも行う予定である。これもまたオンラインでの開催を考えている。
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Causes of Carryover |
一年計画を延長したため。
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