2020 Fiscal Year Research-status Report
中空構造を持つ立体造形物の基礎研究と彫刻表現の実践
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19K00224
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Research Institution | Kanazawa College of Art |
Principal Investigator |
芝山 昌也 金沢美術工芸大学, 美術工芸学部, 准教授 (90435222)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 祭礼の立体造形 / 近代日本彫刻 / 見世物の造形 / 江戸の立体造形物 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究2年目は昨年度行った現地調査の資料整理、分類を行った。その成果を基盤にし、対象を九州地方の祭礼にみられる造形物の制作方法に絞り込んで、実際の材料調達や制作途中を視察する予定をしていた。調査を予定していたすべての祭礼が新型コロナウィルス感染症の蔓延によって中止という状況になった。それに伴って立体造形物やその制作状況を視察できる機会が激減したので、それらの現地調査については研究3年目以降に行うこととなった。 中空構造をもつ立体造形物についての文献調査においても、今年度は九州の地方図書館の郷土資料を中心に文献調査を進める計画を予定していたが、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の発令に伴った所属研究機関の研究出張方針によって県をまたぐ研究が進めにくくなった。したがって、関連する研究として、東北地方の祭礼に見られるねぶたと九州地方のつくりものの関連性について調査を始めた。 関連する作品制作発表においても、6月に台湾の台東地区で中空構造と自然素材を使用した大規模な野外彫刻作品を制作する計画であったが、新型コロナウィルス感染症の影響で渡航することが出来ず実現することが出来なかった。しかし、令和3年3月に開催されたグループ展「すごもりむしとをひらく」(金沢市)では、ねぶたに見られる中空構造を参照しながら、金属の線材で構造を制作した作品を発表した。竹、銅線、鉄線、樹脂など様々なフレーム構造を試しながら、中空構造をもつ立体造形物によるインスタレーションを展開し、発表することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究を実施する対象の殆どが県外にある祭礼や国内外の展覧会などであった。コロナウイルス感染症蔓延の影響で、それらの多くが中止となり県外への研究出張も困難になった。入手可能な文献で文献調査などは進めることができたが、様々な年代の写真を参照する調査を中心に考えていたために、地方図書館に出向くことができなかったことも、研究を大きく妨げることとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度の現地調査については、コロナウィルス感染症蔓延の様子をみながら、可能な範囲で現地調査を進める。ただし、祭礼などの調査では現地の関係者との接触を制限、禁止されるケースも考えられる。次年度が本研究の最終年度でもあるために、著しく調査が困難な場合は研究機関の延長も視野に入れながら、安全に配慮し遅れている現地調査を進めたい。 祭礼の立体物の調査に並行して進めている中空構造を持つ立体作品の制作については、野外展や美術館での発表などを予定している。作品制作についてはテストピースの作成も含めて概ね順調に進められているので、日本に古くから根付く造形の方法を現代彫刻に反映させる試みを発表する予定である。 また、これまでの本研究の途中成果を研究紀要等に掲載する予定である。
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Causes of Carryover |
現地調査等の県外出張ができなかったために、旅費の大半を執行することが出来ずに次年度使用額が生じた。繰り越した研究費は引き続き現地調査費用、および関連する立体造形物の制作に使用する予定である。
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