2019 Fiscal Year Research-status Report
「国際音楽コンクールにおける地域振興の可能性 -国内外の比較研究-」
Project/Area Number |
19K00225
|
Research Institution | Shizuoka University of Art and Culture |
Principal Investigator |
松本 茂章 静岡文化芸術大学, 文化政策学部, 教授 (10433393)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梅田 英春 静岡文化芸術大学, 文化政策学部, 教授 (40316203)
高島 知佐子 静岡文化芸術大学, 文化政策学部, 准教授 (70590404)
上山 典子 静岡文化芸術大学, 文化政策学部, 准教授 (90318577)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 国際音楽コンクール / 自治体文化政策 / 官民協働 / 市民ボランティア |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者の松本茂章は2019年9月、仙台市等主催の「仙台国際音楽コンクール」の実態調査を行った。同コンクールは仙台開府400年の2001年に開始された。以後3年ごとに継続し、19年で第7回目を迎えた。文化事業の立ち上げ時に意欲あふれるボランティアが大勢集まるものの、後継者の獲得が難しく、課題である。しかし仙台の場合、熱心なボランティア人材が新たに参加してくる点に注目して現地調査した。聞き取り調査の結果、同市では本格的に西洋音楽と取り組むコンクールとは別に、敷居の低い「仙台クラシックフェスティバル」を毎年開催。両行事とも同じボランティア組織が参画している実態を突き止めた。毎年開催の同フェスに新たな市民が加わることで、3年ごとの同コンクールにも人材を供給する態勢を構築してきた。 政権与党の月刊研究誌『公明』2019年11月号に成果を執筆したあと、会長を務める日本アートマネジメント学会第21回全国大会(金沢市)の分科会で発表した。 海外調査担当の高島は、文献調査や主催者のホームページを活用して、静岡県等が主催する「静岡国際オペラコンクール」のデータを収集。これまでの出演者や楽曲等の傾向を分析した。このほか本務校による研究費で2019年の「スコットランド国際ピアノコンクール」(英国グラスゴー)を視察。科研費による2020年度現地調査の準備を行った。 上山は2020年3月17日開幕の「リスト国際ピアノコンクール」(蘭国ユトレヒト)の調査に出かける予定だった。直前の同月14日、新型コロナウイルス感染拡大により急きょ延期されたため、出張を中止した。本務校研究費を得た「ハノーファー国際バイオリンコンクール」の報告を本務校紀要に執筆予定で、今後の科研費研究につなげる。 韓国担当の梅田英春は2020年10月予定の「イサンユン国際音楽コンクール」(韓国)の現地調査に備えて文献調査を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
やや遅れている理由は、新型コロナウイルスの感染拡大による影響を受けたためである。国内調査担当の松本茂章は2020年2月、あるいは同年3月に、香川県高松市を訪れ、「高松国際音楽コンクール」の実態調査を行う予定であった。あるいは海外調査担当の上山典子は渡欧して蘭国ユトレヒトに出向き、「リスト国際ピアノコンクール」の実態調査を予定していた。しかし渡欧3日前に急遽、開催延期が決定して調査できなくなった。 同感染拡大に伴い、海外渡航が難しいだけでなく、国内でも県境を超えた調査活動が制限され、国内外とも現地調査がままならない状況が続いている。 本研究は、文献調査にとどまらず、国内外の実態を調査することに意義を見いだせる。調査に出向けないことは研究活動を封じられた形になった。 幸い、「仙台国際音楽コンクール」の実態調査は、日本アートマネジメント学会第21回全国大会(金沢市)で披露し、研究者や実務家の関心を集めることができたので、一定の手ごたえを得ている。
|
Strategy for Future Research Activity |
2020年度に入っても、この報告書を執筆している時点(6月)で海外渡航が制限されている。国内調査も県境を超えた調査が難しい現状が続く。2020年度には遅れを取り戻す研究に励みたいと考えていたものの、実施しにくい状況である。調査期間の延長も検討しなくてはならないかもしれない。 国内であれ、海外であれ、いずれにしろ、現地調査を基本とする研究なので、上記の状況が改善されることが研究調査の前提となる。 2020年度には懸命の努力を行い、調査活動を復活させたい。今後も、新型コロナウイルス感拡大等の推移を慎重に見極めながら、研究活動を計画していきたい。
|
Causes of Carryover |
使用額の変更が生じた理由は、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けたもので、不可抗力によるものと受け止めている。 1つには、海外調査担当の上山典子は2020年3月17日に開幕する予定だった「第12回リスト国際ピアノコンクール」(蘭国ユトレヒト)に出張し、イタリア、ロシア、クロアチア、チェコ、ペルー、中国、韓国、日本などから参加する14人のピアノ演奏を実際に聞き、運営状況を調べる予定だった。航空券を確保し、ホテルの予約をしていた。しかし欧州における同ウイルス感染拡大に伴い、同コンクールは急きょ中止されてしまい、キャンセル料を負担せざるを得なかった。同コンクールが2020年度に実施されるかの見通しは立たず、場合によっては欧州における別のコンクールを探す必要が生じている。 2つには、国内調査担当の松本は、「仙台国際音楽コンクール」調査(2019年9月)を終えて、次の現地調査先として高松国際ピアノコンクール」を選び、2020年2-3月に現地訪問する予定であった。しかし国内でも、欧州と同様に、同感染拡大に伴い、県境を越えた調査旅行を控えることになり、高松での調査は実現しなかった。
|
Research Products
(2 results)