2019 Fiscal Year Research-status Report
芸術文化団体の経営力向上を目指した会計情報活用の研究
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19K00226
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Research Institution | Hiroshima City University |
Principal Investigator |
城多 努 広島市立大学, 国際学部, 准教授 (30423966)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石田 麻子 昭和音楽大学, オペラ研究所, 教授 (50367398)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 会計 / 文化助成 / アートマネジメント / コミュニケーション / マネジメントスキル |
Outline of Annual Research Achievements |
令和元年度では,芸術文化における会計情報の位置づけについての考察を行うための基礎的な研究として,文献研究をメインに実施した。国内外における芸術文化団体における財政・財務に関する資料を収集するとともに,芸術文化団体への助成を行っている団体にも注目し,助成金の交付に関する資料にも着目し,収集した。加えて政府や非営利組織における会計やマネジメントに関する文献もあわせて収集した。 現在はこれら収集した文献をもとにして,分析を進めているところである。芸術文化団体における会計は,公的な助成金の申請といった局面においてはある程度重視されるものであることがはっきりとしてきたが,団体におけるマネジメントへの貢献との関連は現時点では不明であり,更なる調査研究が必要であると考えられる。また海外の助成団体の研究においては,助成団体と助成を受ける芸術文化団体の間のコミュニケーションを緊密化することにより,団体のマネジメントスキルを向上させることを図っている事例が見られる。そこでは会計についても重要なマネジメントスキルとして位置づけられ,その技術向上を促すことが行われている。 ここまでで明らかなのは,芸術文化団体への助成金交付において,団体の財務状態やマネジメントスキルが,助成団体側の事情で重視される傾向にあることから,芸術文化団体における会計情報活用の促進においては,助成団体の姿勢が重要なファクターとなることである。今後の研究においては,芸術文化団体内からのマネジメント能力向上のモチベーションと,外部からの圧力の両面に着目し,会計情報活用の道筋を明らかにしてゆくことが重要であるというのが,現時点における小括である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は現在文献研究を中心に行っているが,国内および海外事例の調査についてはやや不十分である。特に海外事例調査については,令和2年3月に予定していたが,新型コロナウィルス流行に伴う国内及び各国の感染防止措置により,行うことが出来なかった。また同月に予定していた研究成果公表のためのシンポジウムも,中止を余儀なくされた。したがって令和2年度の研究は,コロナウィルス流行の動向を注視しつつ,研究の遂行をすることが必要であると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は文献研究及び事例研究を柱とし,事例調査および海外調査を研究計画に組み込んできた。この基本方針は変更することはないものの,現在のコロナウィルス流行の動向を注視しつつ,研究遂行の方針,特に実施時期等について柔軟に検討しながら,本研究の目的を遂行することを,今後の研究にあたっての基本方針とする。 具体的には令和2年度前半については,既に収集した資料の分析及びインターネット等で得られる資料の分析を中心とする。事例研究のための訪問調査はコロナウィルス感染症の収束状況を見極めつつ,これを徐々に再開してゆくものとする。また感染症拡大と活動のやむをえない中止という,芸術文化団体にとってこれまで想定していなかった危機的な状況に鑑み,会計が,芸術文化団体が直面している新たな課題に向き合う上で,どのような貢献をなしうるのかという視点も加え,今後の研究を進めて行くものとする。そのために,国内外における芸術文化団体の動向についても,これまで以上に注意深く情報収集を行い,本研究における分析に反映させてゆくものとする。
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Causes of Carryover |
令和2年3月に海外調査(英国)を予定していたが,新型コロナウィルス感染症流行に伴う日本及び英国の措置,及び調査先の事情により,当該調査を中止したこと,ならびに同時期に予定していた国内調査を中止したことによって,次年度使用額が発生した。 本年度は感染症流行の動向を注視しつつではあるが,昨年度実施することが出来なかった海外調査及び国内調査について,可能な限り速やかに実施することとし,当該次年度使用額をその経費として充当するものとする。
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