2020 Fiscal Year Research-status Report
メキシコ発見-日本人美術家たちのメキシコ体験の研究
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19K00228
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
奥村 祐子 (笹井祐子) 日本大学, 芸術学部, 教授 (70328772)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | メキシコ / 日本人美術家 / 北川民次 / 利根山光人 / 岡本太郎 / 深沢幸雄 / 吉田穂高 / 竹田鎮三郎 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本とメキシコの間には広大な太平洋を挟んで遠く隔たっている。しかし、二つの国の間 には400年以上におよぶ親善関係がある。経済的交流だけでなく、それ以上に両国の間には親密な文化的、精神的な交流があった。とくに第二次世界大戦後、両国の国際的発展につれて、交流はより親密度を加え、個人によるメキシコ体験、メキシコ発見も増えてきた。芸術面においてそれはより顕著である。 今年度の調査では、利根山光人記念美術館において調査を行った。 1.利根山光人がメキシコに何を見出し、どういう表現を獲得してきたか。 2.メキシコ美術から受けた影響と現在の日本美術に及ぼしている影響を利根山光人記念美術館において調査を行った。 利根山光人が岩手県北上市に1974年にアトリエとして構え、没後1996年に利根山光人記念美術館として一般公開されている。そこには「日輪」「鬼剣舞」「律度」など、躍動感溢れる作品が展示してあり、「鹿踊り」「鬼剣舞」などみちのくの芸能がテーマとなっていた。そして、「メキシコ美術展」(1955年9月10日-10月20日)が、東京国立博物館で開催され、リベラ、オロスコ、シケイロスのタブローや壁画の一部が展示されていて「大変ショックでした。」と思いを残している。そして、その展覧会がきっかけで、メキシコに渡ることを決めたといえる。そして、メキシコでどういう表現を獲得してきたかは、この美術館の作品群からから読み取る事が出来る。メキシコから受けとった色、形、空気、そして思想を、日本ではみちのくの芸能から見出し、作品表現していたといえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初は海外渡航で、北川民次が美術教育、絵画教育の場としてメキシコの子どもたちに絵を教えた場所、メキシコタスコでの調査、メキシコの美術家シケイロス、リベラまでとシケイロス、リベラ後の調査、色彩と太陽と空気と自然を取り込む建築、ルイス・バラガンなどの調査を行う予定であったが、コロナ禍により、メキシコの感性、思考、生き方に影響を受けた日本人美術家のひとり利根山光人の資料を集め、検証することを中心に行った。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度もコロナ禍において海外渡航が難しいため、日本において、北川民次(アトリエ再調査)、利根山光人(聖徳大学付属女子中学校・高等学校レリーフ作品調査、版画作品に刷り師として携われて来た尾崎正志氏のインタビュー)深沢幸雄(南アルプス美術館調査及び山梨県立美術館作品調査、南アルプス美術館館長の作品に関するインタビュー、版画作品に刷り師として携われて来た深沢暁子氏インタビュー)、吉田穂高(三鷹市美術ギャラリー作品調査、版画制作に関する吉田亜世美氏のインタビュー)日本人美術家たちのメキシコ体験の調査やインタビューを行う。
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Causes of Carryover |
北川民次が美術教育、絵画教育の場としてメキシコの子どもたちに絵を教えた場所、メキシコタスコでの調査、メキシコの美術家シケイロス、リベラまでとシケイロス、リベラ後の調査、色彩と太陽と空気と自然を取り込む建築、ルイス・バラガンなどの調査を行う予定であったが、コロナ禍において海外渡航の制限により研究調査に支障が生じたため、使用計画通り研究が進んでいない。今年度もコロナ禍において海外渡航の調査が出来ないため、日本において出来る限りの調査を行いたい。その調査やインタビューの内容として、「8.今後の研究の推進方策」でも述べたように、北川民次(アトリエ再調査)、利根山光人(聖徳大学付属女子中学校・高等学校レリーフ作品調査、版画作品に刷り師として携われて来た尾崎正志氏のインタビュー)、深沢幸雄(南アルプス美術館調査及び山梨県立美術館作品調査、南アルプス美術館館長の作品に関するインタビュー、版画作品に刷り師として携われて来た深沢暁子氏インタビュー)、吉田穂高(三鷹市美術ギャラリー作品調査、版画制作に関する吉田亜世美氏のインタビュー)を行う。
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