2023 Fiscal Year Annual Research Report
Study of Yiddish art and culture of Eastern Europe in Modernism
Project/Area Number |
19K00234
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Research Institution | Kyoto University of the Arts |
Principal Investigator |
樋上 千寿 京都芸術大学, 芸術学部, 非常勤講師 (30608740)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 東欧ユダヤ教 / イディッシュ / ハスカラ / クレズマー音楽 / イディッシュ・ダンス |
Outline of Annual Research Achievements |
イディッシュ語を母語とするドイツ系ユダヤ人(アシュケナージ)が中世以降に離散したロシア・東欧のイディッシュ語圏の芸術文化は、18世紀半ばにドイツで起こったハスカラ(ユダヤ人の西欧文化への同化運動)が19世紀にロシア・東欧圏へと波及するに伴い、その伝統に大きな変革をもたらした。 イディッシュ語には言葉そのものによる表現のみならず豊かな身体表現(ジェスチャー)が含まれる。このイディッシュ語特有の表現作法は、イディッシュ・ダンスやクレズマー音楽のダンス曲の表現法とも深いつながりを持つ。本研究は、広義の言語文化たるイディッシュ文化固有の表現法の本質を、伝統音楽(カントール音楽、クレズマー)の特徴と舞踏の身体言語(ジェスチャー)などの分析から明らかにしようとするものである。 この目的のため、ドイツよりクレズマー音楽の演奏家・研究家で作曲家、教育者のアラン・バーン博士と、イディッシュ・ヴァイオリンの名手マーク・コヴナツキー氏、イディッシュ・ダンスの世界的な指導者で舞踏家の吉田佐由美氏を招聘し、ワークショップと成果発表会(レクチャー・コンサート)を開催した。また、米国よりイディッシュ・ヴァイオリンの名手で、1990年代に米国でのクレズマー・リヴァイヴァルに多大な貢献をしたスティーヴン・グリーンマン氏を招聘し、ワークショップ開催と、彼の作品「ソロ・ヴァイオリンとオーケストラのためのクレズマー組曲(2018年)」全18曲の上演を行った。 2019年度末からの新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、計画の大幅な変更や延期を余儀なくされたが、研究期間を1年延長することで、概ね当初の目的を達することが出来た。計3度(2019年度、22年度、23年度)のワークショップと、各年度開催した演奏会を通じて、わが国を代表する演奏家にもこの音楽文化の理解が普及したことは意義深い。
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