2023 Fiscal Year Annual Research Report
バウハウスとハプティック・ヴィジュアルな構成学の実践研究
Project/Area Number |
19K00239
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
本村 健太 岩手大学, 人文社会科学部, 教授 (70281946)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 基礎造形 / クリエイティブテクノロジー / ハプティック・ヴィジュアル / バウハウス |
Outline of Annual Research Achievements |
表現の可能性を広げる技術を「クリエイティブテクノロジー」として捉え、基礎造形に変容をもたらすもの、あるいは変わらず基礎として継承されていくものの双方を常に確認してきた。 造形作品には視覚的な美しさだけでなく、触覚的な体験が含まれる場合が多い。作品に触れなくても、テクスチャーや触感が視覚的に組み込まれることで、鑑賞者には触覚的な感覚も呼び覚まされる。このような「共感覚的」なアプローチは、バウハウスの時代から試みられてきた基礎教育にもみられ、その後の芸術と技術の融合によって、新たな制作手法で展開可能となっていく。 ハプティック・ヴィジュアルな構成学は、クリエイティブテクノロジーの発展と密接に結びついている。3Dプリンティング、仮想現実、AIなどの新たな制作技術とそれを応用したツールやプラットフォームが制作者に提供される今日、基礎造形のあり方も変容し続ける。このようなクリエイティブテクノロジーと伝統的な表現形式との組み合わせによって、新しい芸術表現が生まれる可能性もある。 近代デザインの基礎を築いたバウハウスの教員ヨハネス・イッテンにおいてもハプティック・ヴィジュアルな基礎造形の源泉を確認できた。イッテンの触覚に関わる基礎訓練は、対象のあり様を本質的に汲み取って表現できるようにするために、見るだけでなく触覚的な感覚や感情を重ね合わせて体験させようとしていた。ここでは主観的な感覚において共感覚的に外界の対象を知覚することが出発点になっている。テクスチャーについては、それらを触って差異のコントラストを認識することもできる。一方で、描かれたテクスチャーは触ることでは差異を感じられないが,見ただけでその材質感は異なることが伝わってくる。触覚的な体験が呼び起こされる共感覚的な平面造形であると認識できる。 さらに、関連して制作した造形物を展示して公開する活動も行った。
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