2019 Fiscal Year Research-status Report
美術家の制作環境改善とノントキシック化に向けた調査研究
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19K00247
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
湊 七雄 福井大学, 学術研究院教育・人文社会系部門(教員養成), 教授 (80436849)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 美術家の安全 / 公衆衛生 / 支援システム / 職業リスク / 芸術の健康被害 / 産業保健医 / 芸術労働者 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、美術家の健康と安全確保および環境保全に関する欧米の先進の取り組みの内容を調査によって明らかにし、(1)美術家の危機管理意識改革、 (2)労働安全衛生水準の向上、 (3)美術家・美術教育機関の支援システムの構築に活用することである。 2019年10月に当該分野をリードする先進研究がなされてきたアメリカに赴き、3つの組織の活動内容や特徴についての実地調査を行い、それぞれの実態調査を行なった。イリノイ大学シカゴ公衆衛生学部は、Health in the Arts Programなど、特徴ある取り組みを展開し、90年代より顕著な成果を残してきた。文献資料だけでは見えてこない内容について主任教授にインタビューを行い、Health in the Arts Programの歴史的な取り組みと、芸術関連障害の診断と治療の実際について詳細に調査した。このインタービュー調査には、コロンビア・カレッジ・シカゴ・芸術学部の教授も同席し、アメリカ全土の傾向について最新の情報を入手できた。ただ、2010年代中頃より、政府の方針により、研究は奨励されなくなり、研究予算がほぼない状態となっていることが明らかになった。コロンビア・カレッジ・シカゴ・芸術学部やニューヨークのアーツ・クラフト&シアターセーフティACTSも同じ状況で、活動規模が大幅に縮小されている。 その他予定していた南アフリカのヨハネスブルグ大学、ピーターマリッツバーグ芸術センター、スイスのローザンヌ州立美術大学ECAL R&D調査は、政情およびコロナ感染拡大の影響により、本年度は実施していない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度はアメリカとヨーロッパの海外訪問調査を予定していたが、新型コロナウィルス感染拡大の影響を受け、当初予定していた海外訪問調査(スイス他)ができなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウィルス感染の収束に合わせ、国際的な動向調査を再開する。 具体的には、①美術家の健康と安全を支援する組織・団体の活動内容や特徴についての実地調査、②美術教育機関における取り組みの実地調査、③汎用的な代替画材の研究開発についての調査を行い、わが国における美術家・美術教育機関の支援システム構築に活用する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染拡大の影響を受け、当初予定していた海外出張を実施出来なかったため。本年度も予定が立てられない状態にあり、今後の国際情勢を睨みながら計画を立てることとなる。
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