2019 Fiscal Year Research-status Report
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19K00252
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Research Institution | Fukuoka University of Education |
Principal Investigator |
加藤 隆之 福岡教育大学, 教育学部, 准教授 (70572056)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鬼本 佳代子 福岡市美術館, 運営部, 学芸課 (90720219)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 描画材料作り / 色材 / 展色剤 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、研究計画に立てた三つの柱のうちの一つである「Ⅰ.素材の選定」に関して重点的に取り組んだ。色材と展色剤に分けた素材の選定に関して、市販される土性系顔料の選定と、採取した土や砂岩・桜貝から粉末状の顔料作りを試みた。展色剤に関しては、素材としての蝋に着目して、蝋の採取方法から表現への活用方法について試作を試みた。描画に使用可能な蝋のなかで、特に蜜蝋に着目し養蜂による巣から蝋を採取する実践に取り組んだ。また西洋表現技法であるエンコスティックを試作し、制作手順や道具の整理と方法の検討に取り組んだ。加えてジャパンワックスとして近代に多く生産されていた櫨蝋にも着目した。福岡県における地域産業としての櫨栽培と櫨蝋作りの調査をおこない、自ら櫨蝋を採取する方法の構築を進めている。蝋に関する内容では、「実感的な理解」のできる教材開発に向けて、素材の成り立ちから体験できる素材として今後の実践に向けた準備を進めることができた。 三つの柱のうちの「Ⅱ.描画材作りの内容と方法の構築」では、大学開放事業によるクレヨン作りのワークショップの実施、実践研究による幼稚園でのモザイク画制作をおこなって、「色と豊かに関わる態度」の育成に関連した取り組みをおこなった。 一方、研究分担者の鬼本は、美術館で制作したワークショップ教材(加藤が制作協力)を持ちいたアウトリーチ活動として、作品鑑賞と描画材料の理解を関連させたワークショップの企画と実践に取り組んだ。公民館でのシニア教室、病院での入院患者・デイケア教室、中学校への出前授業をおこなった。この活動を通して、色材の扱い方や見せ方、表現や美術作品への繋がりについて、企画内容と実践方法について検討を進めることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
材料の選定と活用方法に関して、研究を進める中でさらに広がりを持って進めることができている。実践に関しては、当初計画していた予定通りに進めることができた。ただ、年度末に新型コロナウイルスの影響が出始めたため、研究分担者と共に予定していた取材の出張を取り止めた。今後もワークショップ開催に関して、影響が出ることも想定しておく必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
研究の柱である「Ⅰ.素材の選定と収集」を継続しながら、「Ⅱ.描画材作りの内容と方法の構築」に関して、具体的な内容を詰めていきたい。特に、蝋を活用した取り組みについて深めていく予定である。「Ⅲ.実践による効果の検証」として、Ⅱで進めている内容を、材料や目的に応じて小規模な形で実践を始めるとともに、本格的なワークショップ実施に向けた広報の手段も構築していく。
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Causes of Carryover |
図画工作科の教科書および指導書の購入に当たり、学習指導要領改訂後に発行される新課程版を購入したいため令和元年度の購入を見合わせて予算を繰り越した。 また、新型コロナウイルスの影響により出張を中止し、キャンセル料のみの支払いをおこなった。繰り越した予算で次年度の出張に使用予定である。
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Research Products
(1 results)