2021 Fiscal Year Research-status Report
An investigation into the nature of preluding as a feature of nineteenth-century performance practice
Project/Area Number |
19K00256
|
Research Institution | Fukuoka Prefectural University |
Principal Investigator |
鷲野 彰子 福岡県立大学, 人間社会学部, 准教授 (20625305)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 前奏演奏 / バックハウス / ヨゼフ・ホフマン / ライブ演奏 / 自由な即興 / 20世紀初期の演奏 / 録音 / 序奏 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、①20世紀前半の録音に残された演奏資料から、19世紀から20世紀初期にかけて当時の演奏慣習として行われていた即興的前奏演奏の実態を探り、②そこから楽譜に記譜された同様の前奏部分と考え得る箇所に込められた作曲家の意図や楽曲内における役割を浮かび上がらせる、という構想のもと、進めている。 当初の予定では、本研究の中心的資料となる即興的前奏演奏の記録を海外において徹底的に収集し、演奏実践の分析を経て、それをふまえて記譜された前奏演奏の検討をしたいと考えていた。だが、コロナ禍における海外への往来自粛に依り、R2年度に引き続き、当初予定の最終年度にあたるR3年度においても国内外における音源資料の収集を進めることができなかった。そのため、本研究の中心的資料の充実を欠いたまま、可能なことから進めている状況にある。 そのような状況下にはあるものの、ヨゼフ・ホフマン(Josef Hofmann, 1876-1957)とヴィルヘルム・バックハウス(Wilhelm Backhaus, 1884-1969)の演奏については、ある程度まとまった前奏演奏実践の記録資料が入手できたことから、主に彼らの演奏実践を用いて分析を進めた。その際、演奏時期や演奏環境にくわえ、どのようなプログラム構成のなかでそれらの前奏演奏が披露されたか等が把握できるものについては、それらを考慮した分析を進めることができた。彼らの場合、一夜の演奏会のなかにいくつもの前奏演奏が含まれるものもあり、後続曲との関係性のみならず、その演奏会全体のなかで前奏演奏の役割をとらえることができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
コロナ禍の状況下において、国内外のいずれにおいても必要な資料調査・資料収集を進めることができなかった。手元に揃っている資料を分析するにとどまった。
|
Strategy for Future Research Activity |
最終年度(昨年度最終年度だったが今年度まで延長した)にあたる今年度は、まとめにかかる時期であるが、まずは必要な資料調査を進め、引き続きこれまでに行ってきた手法を用いて前奏演奏の実践例の分析を進めたい。楽曲内に記譜された前奏を分析するうえでも、より綿密な実践例分析抜きには精度の高い分析は望めないためである。十分に実践例の分析を行ったうえで、記譜された前奏部分の分析については、今後の研究のための何らかの手がかりを得たいと考えている。
|
Causes of Carryover |
本研究の肝である中心的資料の収集が進まず、次年度にその作業を持ち越すことにしたため。
|