2023 Fiscal Year Annual Research Report
An investigation into the nature of preluding as a feature of nineteenth-century performance practice
Project/Area Number |
19K00256
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Research Institution | Fukuoka Prefectural University |
Principal Investigator |
鷲野 彰子 福岡県立大学, 人間社会学部, 准教授 (20625305)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 即興演奏 / 前奏 / 歴史的録音 / 楽譜 / 19世紀の演奏法 / ヨゼフ・ホフマン / ヴィルヘルム・バックハウス / 記譜 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、19世紀における前奏演奏の役割と演奏方法を、録音資料をもとに解明しようとするものであり、①前奏演奏が記録された録音資料の収集、②分析、そして③それらの録音資料から得られた傾向と同様の記譜を楽譜から探す、という方法で進めてきた。録音資料の収集は当初予想していたよりも遥かに音源の量が限られており、非常に丁寧に調査したにもかかわらず、期待したほどの資料は量的には収集できなかった。だが、ヴァリエーションに富んだ前奏演奏が入手でき、しかもそこには同じ演奏家が同一曲の前に異なる前奏演奏を付加したパターンが含まれているなど、前奏演奏の実態を探る上で非常に興味深い資料を集めることができた。 これまで演奏資料の収集と分析を進めてきたが、最終年度にあたる2023年度は、これまで行ってきた即興的前奏演奏の分析を総合的に捉え直すと共に、最後の課題である楽譜に記譜された前奏演奏について検討した。「楽譜に記載された前奏演奏」については、楽譜上にも文献資料等にも特段の記載がないことから、本研究課題を開始した当初は、それが「楽譜に記載された前奏演奏」と捉えることができるのか否かの判断が難しかったが、これまで行ってきた録音資料の整理・分析を経て、それが可能となった。それにより、録音資料としては非常に限定的な数の例しか残されていない前奏演奏であるが、完全に同一ではないが変化形と捉えることができるような記譜された前奏演奏を楽譜資料からも得ることができるようになった。また同時に、それらの部分の楽譜の記譜についても再解釈することが可能となった。
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