2020 Fiscal Year Research-status Report
Multi-Channel-Acoustic electronic Music and Its Development Using Sound Stream Moire Representation
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19K00257
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Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
小坂 直敏 東京電機大学, 未来科学部, 教授 (20366389)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 音脈モワレ表現 / 電子音楽 / 多チャネル音響システム / ミクストミュージック / 群化 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究の目的として 1)多チャネル音響固有な音響表現として、音響知覚心理上の群化、音脈分擬、サウンドコラージュエフェクトを応用した音脈モワレ表現を確立する。2)ポストプロダクションとしてのオーディオレコーディング再生技術にならい、ミクストミュージックの再現法について検討する、3)多チャネル音響、および空間音響を用いた音楽表現の場を広く求めて本分野の発展につくす。の3点をあげた。このうち、初年度より1)を中心に進めてきた。2)はコロナ禍で対応できず、3)は2021年度に対応している。 1)の音脈モワレ現象について、さらに実験を進めた。2019年度は、基本的には2チャネルを対象として、その現象の存在の確認と群化特性について心理実験をもとに進めた。2020年度は、この結果をさらに4チャネルに広げ群化特性を調べた。2チャネルの検討時に、まずは、スピーカ受聴の前に、ヘッドフォンで群化が起こるか否かを確認して、ほとんど起こらなかったことを踏まえ、同様に、4チャネル実験時には、まず、反響のない無響室で4chに調波を分解して流して、群化特性を調べた。 音の分解は、4chに対応し、1,5,9.. 倍音、2,6,10...倍音という具合に4つおきの調波複合音を作成した。これを各4chのさうぴーかーに割り当てて群化特性を調べた。1,4,9,...倍音は非常に他の音が群化されやすく、オリジナルなピッチを知覚できる。しかし、他の音は無響室ではあまり群化しなかった。また、2019年度と同様2chへの分解音声を4chに適用した場合でも実験し、空間上の群化/分離の特性の調査を開始した。 これらの実験の結果、無響室では、音の反射がないため、群化が起こりにくく、分離しがちであることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍により、学校への滞在が極端に制約を受け、音響実験まわりが予定どおりに進まなかった。具体的には、長時間の滞在が不可になったことによる音響実験実施回数の減少、被験者が集めにくかったなどの理由である。目的(2)については実施を断念した。 また、目的(3)については、当初2020年に計画していたオーケストラ演奏会が同一理由で実施できず、2021年度に延期せざるを得なかったこともある。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナ禍は昨年と同様に継続しているため、これまでに受けた制約と同じ状況で考える。 本年度は、音脈モワレ現象の特性について、さらに詳細に検討し、音楽的に意味のあるエフェクトにつながるようにその特性を調べたい。 まず、調波の偶数倍音と奇数倍音に分解した2種の音を4cx交互に再生されたときの空間内の群化/分離のマップを明確に描くことを目標とする。これが防音室とより反響の多い場所での比較を行い、空間音響エフェクトとしての応用可能性について検討する。 一方、サウンドコラージュという音エフェクト合成法を検討している。これは、一つの音を複数の要素音に分解するエフェクトである。これを音脈モワレに応用するため、分解した後に、個別スピーカに分解した音を割り当てる。この場合も群化/分離特性を明確化することを目的とする。ここでの検討のポイントは、サウンドコラージュという音エフェクト合成の応用として、本研究が成立している点である。すなわち、サウンドコラージュの合成の性能が低いとそれを応用した本検討の性能も低くなる。まず、サウンドコラージュをCNMFなど、要素音の時間構造を保ちながら音を要素音で分解する方法を考える。(2)は断念するかわりに、目的(1)の音脈モワレ現象の群化特性の明確化に重点を置く。 (3)は2021年6月にオーケストラ公演を実施し、舞台の空間上でこの現象が起きているか否かを録音により確認するフィールド実験を行う。
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Causes of Carryover |
当該年度は、オーケストラ公演を企画しており、11月実施予定であった。同公演には、150万円から200万円程度の予算が必要となり計画していた。しかし、コロナ禍でこの公演が次年度(2021)6月に延期となり、当該年度に使用予定であったら予算のほとんどが次年度に持ち越されたため。
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Research Products
(3 results)