2020 Fiscal Year Research-status Report
Cultural Asylum: Topology of Chinese Independent Documentary
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19K00259
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
鳥井 珠子 (秋山珠子) 神奈川大学, 外国語学部, 助教 (80422385)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 現代中国 / 中国映画 / インディペンデント映画 / ドキュメンタリー / アサイラム / 中国 / 映画 / 字幕翻訳 |
Outline of Annual Research Achievements |
【調査】2019年度末より続く世界規模のコロナ禍の中、2020年度は海外渡航調査に代え、オンラインでの調査を積極的に推進し、中国インディペンデント・ドキュメンタリーのコロナ時代のオンライン・プラットフォーム創出と作品把握に努めた。主な調査対象は、草場地工作站(中国)、現象工作室(米国)等団体と、呉文光、章夢奇、朱日坤、曾金燕、王楚禹ら監督である。また国内では、後述の『華語独立影像観察/Chinese Independent Cinema Observer(CICO)』日中特集号のために石坂健治、市山尚三、暉峻創三、矢野和之、野中章弘をはじめとする十余名の日本の主要な映画祭・テレビ関係者への聞き取りや原稿依頼を行い、中国インディペンデント映画をめぐる日中交接の事例に関する貴重な証言を得ることができた。 【研究交流・成果発表】コロナ禍で増加した、国内外のオンラインの研究交流活動に積極的に参加し、とくに中国語・英語圏での研究動向把握と成果公開に努めた。とりわけ、顧問を務める国際共同研究組織、Chinese Independent Film Archive(CIFA・英国)が発刊したオンライン学術誌『CICO』創刊号(2021年)の編集を馬然(名古屋大学)と共同で担当し、筆者を含む日中の当事者・研究者26名による334ページにわたる記事・論文・映画評・資料等からなる「日本と中国インディペンデント映画文化のコネクション(1989-2020)」特集号を中英両言語で公刊したことは、国内外で大きな反響を呼んだ。また国内では、招待を受けた表象文化論学会オンライン研究フォーラム2020シンポジム「コロナ禍の文化と表現」での口頭発表や『現代中国』(第94号, 2021年)への寄稿、監督・王楚禹を招いた座談会の開催等を通し、コロナ時代における非公式文化生産についての知見の紹介と討議の機会を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍により、予定していた海外渡航調査を中止したものの、それに代えて、オンラインにおける調査・参与観察を積極的に進めたことにより、中国インディペンデント・ドキュメンタリーのオンライン・プラットフォームの創出と、それを介した創作・流通・受容という、カルチュラル・アサイラムの新たな動向について、貴重な知見を得ることができた。またそれらの成果を、学会・研究会での口頭発表や学術誌寄稿、当事者を招いた複数のオンライン講演会の開催を通し、多分野の研究者や一般に向けて広く発信する機会も得た。 また、CIFA(英国)をはじめとするオンラインでの国外研究者との交流機会の増大は、当該分野における世界の研究動向の把握と、成果吸収にもつながった。さらには、前項のオンライン学術誌『CICO』創刊号を馬然と共同編集し、中国インディペンデント映画と日本との知られざるコネクションについての特集を中英両言語で公刊したことにより、国内外から貴重なフィードバックを得、今後の研究への重要な示唆を得ることができた。なお本研究は、中国インディペンデント映画のアサイラムが、誕生の当初より、日本をはじめとする海外の映画祭やテレビとの密接な関連の上に成立したことを調査・分析してきており、『CICO』の特集は重要な成果公開の一環として位置づけることができる。 総じて、渡航調査の中止による計画変更の一方、予期せぬ多くの成果もあったと考えられ、本研究はおおむね順調に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナ禍により2019、2020年度に中止した中国・欧州調査を行い、中国国内での新たなアサイラム形成の動向、国外への移住監督の創作状況、海外映画祭や美術展におけるキュレーションとの相互関係などについての情報・資料収集と分析を進める。国内では、山形国際ドキュメンタリー映画祭をはじめとする映画祭や芸術展の機会をとらえて当事者インタビューと参与観察を行うほか、『CICO』編集過程を通じて改めてその重要性を認識した、テレビが中国インディペンデント・ドキュメンタリーのアサイラムに果たす機能を把握すべく、Tokyo Docsや制作プロダクションに対する調査も行う計画である。また、引き続きCIFAの顧問を務め、国外研究者との研究交流を進めるほか、国内外での研究会開催、学会発表、論文執筆、翻訳等を通した、成果公開も目指す。なお、以上の計画推進にあたっては、コロナ流行状況を随時勘案し、引き続きオンライン手段の活用も視野に入れる。
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Causes of Carryover |
コロナ感染拡大により、2019年度に予定していた北京、昆明調査を中止したことに引き続き、2020年度も、コロナ流行の長期化を受け、予定していた平遥、上海、欧州調査を中止したため、未使用額が生じた。但し、前項の通り、英国に拠点を置く国際共同研究組織、華語独立影像資料館/Chinese Independent Film Archive(CIFA)発行のオンライン学術誌『華語独立影像観察/Chinese Independent Cinema Observer(CICO)』創刊号の編集・寄稿を行い、当初予定額を超える翻訳・校正費用を支出したため、次年度使用額は前年度に比べ減少することとなった。2021年度は、海外渡航が可能になり次第、調整を経て、研究課題遂行に必要な中国・欧州での調査および成果発表を進める計画である。
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Remarks |
【編集学術誌(特集:日本と中国インディペンデント映画文化のコネクション, 英/中, 総計334頁)】 (英) Ma Ran and Akiyama Tamako (ed.) , Chinese Independent Cinema Observer, Issue 1 (2021)(webページ(1)) (中) 馬然, 秋山珠子(編), 『華語独立影像観察』, 第一期 (2021)(webページ(2))
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Research Products
(20 results)
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[Presentation] 華語独立資料館的館蔵、功能、策展内容与未来発展2020
Author(s)
Sabrina Yu, Lydia Wu, Luke Robinson, Chris Berry, Akiyama Tamako, Bao Hongwei, Karin Chien, Karen Chan, Kuo Li-Hsin, James Cummings, Li Tiecheng, Li Xiaofeng, Lin Xin, Gina Marchetti, Markus Nornes, Wang Libo, Gu Xue, Zhu Rikun, Ma Ran, Zeng Jinyan, Zhang Ping, Zhang Xianmin, et al.
Organizer
華語独立影像資料館網站上線座談会
Int'l Joint Research / Invited
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