2020 Fiscal Year Research-status Report
芸術団体の創造活動の自律性を高める助成のありかた~英国のアーツカウンシル制度研究
Project/Area Number |
19K00260
|
Research Institution | Showa University of Music |
Principal Investigator |
石田 麻子 昭和音楽大学, オペラ研究所, 教授 (50367398)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
袴田 麻祐子 昭和音楽大学, オペラ研究所, 研究員 (40535548)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | アーツカウンシル制度 / 芸術関連組織の運営 / レジリエンス / 波及効果 / 評価 / 創造活動 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、これまでにおこなってきた収集資料の整理と読み取り、オンライン・インタビューなどを通じて、研究成果のまとめに注力することができた。 直接の成果としては、まず研究分担者と共に日本音楽芸術マネジメント学会冬の研究大会(2月13日)にて研究発表「アーツカウンシル・イングランドにおける戦略目標と評価指標」(袴田麻祐子・石田麻子)を実施、英国の公的助成機関が10年の期間を設定して発表した戦略目標と各事業の活動およびその評価をどのようにリンクさせているのかといった政策立案と事業企画の関係性などを明らかにすることができた。 このほかにもコロナ禍における世界の劇場再開に向けた動きを広く一般と共有するため、公開講座「リーダーズ・トーク『我々はいかにして劇場を再開させるのか』」(12月2日)を企画・司会を務めた。同講座では、ドイツのコーミッシェ・オパー・ベルリンの次期総裁、日本ではびわ湖ホールの芸術監督に登壇してもらい、現状と今後について明らかにする機会とした。2020年度は海外および国内の各劇場や各団体の活動状況、さらにアーツカウンシルや各国政府の支援状況などを記録公開することにも努めてきた。こうした国内外の組織との継続的な連携をつうじた研究活動の結果、本研究の推進につながった。日本でのアーツカウンシル制度運用開始からちょうど10年がたつ今年度は、制度運用や制度そのものの見直しなどがおこなわれると考えられ、そうした国内の実際の動きにも参照できるような成果となったと考えている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
メールやオンラインなどでのインタビューを続けてきたこと、収集資料や論文、書籍などのデスクリサーチなどをまとめてきたことなどの成果として、学会発表を実施することができた。加えて今年度単著の書籍が刊行予定となっている。こうした成果を積み上げることで、これまで十分に明らかになっていたとはいえないアーツカウンシル制度の実態を整理し、制度の本質、制度がどのような理論や制度的な背景のもとに運用されているのかを知ることにつながったと考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
2年目までの研究成果のまとめとして、その成果を書籍出版や論文執筆などで公開することにより、広く一般と共有することが計画される。さらに、コロナ禍において具体的に策定されたイングランドを中心とする地域での団体支援策と、活動再開状況についてもまとめていきたいと考えている。
|
Causes of Carryover |
予定していた現地調査がコロナ禍のため延期となり、旅費を使用しなかったことが理由である。今年度も引き続きコロナ禍対応が必要となることが予測されるため、次善の調査方法を検討しながら、文献調査、あるいは追加のオンライン・インタビューなどに転換し、研究を行っていく。そのための資料費やオンライン環境の整備などに助成金の使用項目を切り替えていく。
|
Research Products
(7 results)