2021 Fiscal Year Research-status Report
芸術団体の創造活動の自律性を高める助成のありかた~英国のアーツカウンシル制度研究
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19K00260
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Research Institution | Showa University of Music |
Principal Investigator |
石田 麻子 昭和音楽大学, オペラ研究所, 教授 (50367398)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
袴田 麻祐子 昭和音楽大学, オペラ研究所, 研究員 (40535548)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | アーツカウンシル制度 / 芸術文化助成 / 助成組織の運営 / 評価システム / 芸術文化振興 / 芸術文化団体の運営 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は、これまでに収集した資料の整理と読み取り、オンライン・インタビューなどをつうじて、一旦、研究成果をまとめることに注力した。 直接の成果には、まず単著の出版があげられる。研究代表者は、『芸術文化助成の考え方~アーツカウンシルの戦略的投資』(美学出版)を2021年8月に出版した。同書は、アーツカウンシル・イングランド(以下、ACE)における制度運用、政府とACE、被助成団体とACEとの関係性などから、アーツカウンシル制度の運用による投資としての芸術文化助成の考え方とその展開について多角的に検証して、体系的にまとめたものである。アーツカウンシル制度整備の背景や経緯、政府の発表した『カルチャー・ホワイト・ペーパー』とACEの10年戦略の文書との関連性の比較検討に加えて、具体的な被助成団体との関係構築のあり方などもインタビューにより明らかにしている。出版直後から、芸術文化政策にかかわるシンポジウムや公開講座などでの発言をつうじて、本研究成果を社会に発信する機会確保に努めてきた。 加えて、日本音楽芸術マネジメント学会の学会誌『音楽芸術マネジメント』13号に研究分担者との共著による研究論文が掲載された。さらに、同学会冬の研究大会(2月6日)にて研究発表(研究分担者)を実施した。 日本でのアーツカウンシル制度運用開始から10年を迎えたことから、制度の運用方法や、制度そのものの見直しなどがおこなわれると考えられる。そうした国内の文化政策の動きにともなう要請に対して参照できるような成果を提示できることを目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
単著の出版(研究代表者)、研究発表の実施(研究分担者)などをつうじて、これまでの研究成果を発表できた。研究期間途中の段階ではあったが、コロナ禍における芸術文化助成のあり方が問われていたタイミングでもあったため、時宜を得たものになった。研究代表者はこのほかにも、招待講演(北京大学)、公開講座での招待講演(劇場、音楽堂等連絡協議会[合計2回]、全国公立文化施設協会全国劇場・音楽堂等職員アートマネジメント研修会の講師)、シンポジウム・パネリスト(文化政策学会)としての招聘など、研究成果を社会に発信する機会を数多く確保することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
研究期間の最終年度となるが、コロナ禍、さらにヨーロッパの政治情勢が激変する現状において、芸術文化助成のあり方、さらには芸術活動のあり方自体も問われる状態にある。そうした社会環境の変化に対応するための方策が各国で打ち出される状況を、英国を中心にまずは正確に記録する作業をつうじて、他事例への参照可能とするための検証が急がれる。本研究を引き続き迅速かつ適切に実施して、研究発表と社会への還元につなげていきたい。
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Causes of Carryover |
2021年度はコロナ禍の影響で実地調査ができなかったため、旅費がかからなかった。2022年度はコロナによる移動規制が緩和される見込みであり、可能な限り、これまでに課題となっていた事項の解決に向けて、実地調査をおこなうこととしたい。
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Research Products
(3 results)