2021 Fiscal Year Annual Research Report
演劇と市民社会:佐藤信による劇場創造とアジア演劇との交流事業に関する調査
Project/Area Number |
19K00264
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
梅山 いつき 近畿大学, 文芸学部, 准教授 (50505401)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 現代演劇 / 小劇場演劇 / アジア演劇 / 社会運動 / 舞台芸術 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、日本の現代演劇を代表する演出家・劇作家佐藤信を取り上げ、彼が創設に携わった数々の劇場と、約半世紀に渡って積み重ねてきたアジアの近隣諸国との交流事業について調査研究するものである。当初、佐藤と黒テントの中国やフィリピンにおける活動を現地調査しようと計画していたが、新型コロナウィルスの感染拡大に伴い、海外出張ができず、計画を国内調査に変更した。国内調査では佐藤の公演だけでなく、佐藤と交流のある若手劇団の公演の調査も行った。佐藤の初期作品に携わった串田和美と佐藤の対談でモデレーターをつとめ、1960年代の創作や公共劇場で手がけた事業について話を伺うことができた(劇場セミナー:次世代モデルの研究:第6回 「都市と演劇 ふたりの演劇人の半世紀」)。資料調査の拠点である演劇博物館では、佐藤と同世代の劇作家・別役実に関する調査研究を進めた。佐藤の作家活動について考察する上で手がかりとなりうる情報を、特に放送作品に関する調査から得られた。その成果を表象文化論学会第15回大会で、パネル発表「新出資料から見る別役実の世界」(岡室美奈子、梅山いつき、後藤隆基)で発表し、展示図録『別役実のつくりかた――幻の処女戯曲からそよそよ族へ』(演劇博物館)や、単行本『別役実の風景』(論創社)に論文を寄稿した。また、本年は最終年度ということで、これ以外にも日本近代文学会2021年度秋季大会でのシンポジウム「雑踏の中の1960年代文学」や、韓国演劇学会などで研究成果を学会や論文の形で積極的に発信した。
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Research Products
(6 results)