2020 Fiscal Year Research-status Report
科学への市民参画の諸相―職業的科学者との協働と分業の実態と課題―
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19K00269
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
齋藤 芳子 名古屋大学, 高等教育研究センター, 助教 (90344077)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
戸田山 和久 名古屋大学, 情報学研究科, 教授 (90217513)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | アマチュア科学者 / 市民科学 |
Outline of Annual Research Achievements |
アマチュア科学は、科学の専門職化が進んで以降の長きにわたる市民の科学参加の形態である。その特徴は、職業的科学者とアマチュア科学者である市民との間で協働と分業がなされてきたことであろう。ただし、日本ではアマチュア科学がほとんど注目されてこなかったという経緯がある。他方、海外においては、先行研究がいくぶん蓄積されているものの、近年よくとりあげられる「市民科学」(Irwin 1995)ほどの注目はなく、また、職業的科学者とアマチュア科学者との「協働」という視点はかならずしも十分に検討されていない。しかし、アマチュア科学は、単純な「専門家vs.非専門家」の図式を外れており、現代における科学への市民参画についても示唆に富むと考えられるところである。 本研究では、以上の問題意識をもとに、職業的科学者とアマチュア科学者である市民との間で協働と分業がどのように行われてきたのかを解明しようとするものである。 研究期間初年度は、アマチュア科学がこれまでどのように分析されてきたのかについての文献調査、関連する営みで昨今興隆しているクラウドファンディングや市民科学の分析視点を知るための文献調査を実施し、今後の実地調査にむけた検討を行なった。 二年度は、新型コロナ禍により予定していた実地調査を行うことができなかったため、引き続き文献調査を進めることに専念した。あわせて続くコロナ禍においても実施できるような調査計画への変更を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナ禍において、アマチュア科学者へのインタビュー調査に気軽にいけないなど、研究の核心部分で足踏みをすることになったため。
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Strategy for Future Research Activity |
いまだコロナ禍が続くと思われるため、インタビューにこだわらずにまずはアマチュア科学、市民科学、科学研究へのクラウドファンディングの状況や意識などを調査する方向に切り替える。まずは、クラウドファンディングサイトの情報の分析を進めつつ、アマチュア科学、市民科学にかかわるウェブ調査等を検討する予定である。
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Causes of Carryover |
令和元年度末より、新型コロナ禍において国内外の訪問調査や、学会出張、国際会議参加などが軒並み遂行できなくなったため、大きな残額となった。 次年度には、質問紙調査実施やデータ分析の経費として残額を活用する予定である。
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