2020 Fiscal Year Research-status Report
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19K00270
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大塚 淳 京都大学, 文学研究科, 准教授 (60743705)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 生物学の哲学 / 因果モデル / 自然変換 / ニッチ構築 / 進化ゲーム理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、コロナウィルスの流行により、予定していた海外での発表および共同研究が行えなかった。そのため計画を変更し、国内での単独および共同研究を主軸に活動を行った。 特に、前年度に考察を進めていた進化モデルの同一性を、因果モデルの同一性というより幅広い観点から考察した。因果モデルの同一性は、ここ数年で注目されつつある領域であるが、主に個別事例に基づく研究が一般的であり、統一的・法則的な結果は得られていない。そこで本研究では、共同研究者の協力を仰ぎつつ、圏論を援用することにより、より統一的な仕方で因果モデルの同型性を定式化することを試みている。具体的には、因果モデルを関手、そしてその同一性を自然変換によって捉えようとするものである。この目的を達成するために国内研究者との共同研究を行い、現在論文を執筆中である。またこの結果は、6月の国内学会(オンライン)にて発表する予定である。 一方、進化モデルの具体的事象への適用については二つの国際共同研究を進めている。一つはニッチ構築や環境の選択など、生物や環境との相互作用および共進化を因果モデルによってモデル化する研究をスペインの生物学者とともに進めており、現在論文を執筆中である。またもう一つは、因果モデルをゲーム理論と統合することで、進化的ゲーム理論の因果的解釈をすすめる共同研究を、フィンランドの生物学者と開始した。 また間接的に関連する研究として、統計モデル及び因果モデルについての哲学的解釈を考察した著作を刊行した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
予定していた出張および共同研究ができなかったことにより、当初の研究計画からは遅れおよび変更が生じた。特に、計画書で予定していた階層進化についての共同研究、および物理学における対称性との比較については計画を変更し、別の方向性を探ることになった。しかしながら、それにより、上述のような新たな視点が得られたという収穫もあった。
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Strategy for Future Research Activity |
3年度も当面の間感染状況の改善は見られなそうなことを鑑み、今年度も引き続き、国内での理論的研究をすすめる予定である。年度前半は因果モデルの同型性についての共同研究、および環境相互作用モデルの国際共同研究を進め、論文化することを目指す。また後半は進化的ゲーム理論と因果モデルの関係性についての考察を行う予定である。
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Causes of Carryover |
国際・国内学会および出張がすべて中止になったため、旅費を使用しなかった。コロナウィルスの状況が予測できないため、来年度の使用計画も立てることができない。
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Research Products
(8 results)