2020 Fiscal Year Research-status Report
The Origins of Marxian View on Technology.
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19K00271
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
市川 浩 広島大学, 人間社会科学研究科(総), 教授 (00212994)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 旧ソ連邦 / マルクス主義 / 技術論 / ハイム・ガルベル / 大テロル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,ソ連科学アカデミー・科学史=技術史研究所、「マルクス主義的技術史委員会」などを舞台に,1930年代のソ連でマルクス主義的技術論・技術史の方法論確立に力を尽くした研究者たちの研究活動を追跡し,その全体像を明らかにすることにある. 令和2年度は,新型コロナ・ウィルス感染症対策のため,現地での資料調査ができず、わずかにロシア科学アカデミー・文書館やロシア国立図書館によるスキャニング・サービスやロシア人の友人の親切によって若干の資料を確保しえたくらいであった。しかし,そのおかげで,こうした深刻な研究遂行上の障害にもかかわらず,研究成果の発表の点では一定の前進をえることができた.まず,本科研の副題にも挙げた科学アカデミー・科学史=技術史研究所の論客,ハイム・ガルベル(Хайм Иосифович Гарбер. 1903-1937)による技術とその発展のとらえ方について論文を執筆し,学会誌に発表することができた.また,高等工業教育機関教員による“マルクス主義的技術史”の探究,およびその内容と教授方法が確立されてゆくうえでニコライ・ヴォルコフ(Николай Сергеевич Волков. 1907-?)という党イデオローグ=高等工業教育機関教員のイニシャティヴを明らかにする研究発表を日本科学史学会第24回西日本研究大会(2020年12月5日, オンライン開催)でおこない,さらにそれを基礎に論稿を草し,研究会誌に投稿することもできた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナ・ウィルス感染症対策のため,現地での資料調査ができず,研究の進捗に重大な停滞をもたらしたが,ロシア国立図書館,ロシア科学アカデミー文書館,同自然科学史=技術史研究所のコンスタンチン・トミーリン(Константин Александрович Томилин)氏,同哲学研究所のセルゲイ・コルサコフ(Сергей Николаевич Корсаков)氏,同ロシア史研究所のコンスタンチン・ドロズドーフ(Константин Сергеевич Дроздов)氏などの協力により,必要な研究資料の一部を居ながらにして入手することができ,一定の研究成果を生み出すことができた.
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度における相対的な重点として,1930年代のソ連でマルクス主義技術史学の形成をめざした第3の舞台として,「国立物質文化史アカデミー」に注目し,現地における資料調査を軸に,その研究活動の内実や技術史にたいする構想の詳細を明らかに課題に取り組みたいと考えている.その後,わが国への同時代的影響について研究を進める予定である.研究成果の発表については,最終的に1冊の学術書にまとめる展望も生まれつつあると考えている. 令和2年度に生じた多額の「次年度使用額」が生じた理由は,言うまでもなく,新型コロナ・ウィルス感染症対策のため,年度内2回を予定していた現地での資料調査ができなかったことによる.これについては,新型コロナ・ウィルス感染症が鎮静化したのち,旺盛に現地資料調査を実施することで解消したいと考えている.
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Causes of Carryover |
すでに述べたように新型コロナ・ウィルス感染症の影響で、ロシアに出向いて現地で資料調査をおこなうことがまったくできなかったために、また国内での資料調査、研究成果発表のための移動もかなわなかったため、多額の「旅費」等を使い残す結果になった。これについては、新型コロナ・ウィルス感染症の終息、ないし研究者自身のワクチン接種後に複数度ロシアや国内での現地資料調査を実施することで確実に使用してゆきたいと考えている。
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