2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K00273
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Research Institution | Chiba Institute of Technology |
Principal Investigator |
浜野 志保 千葉工業大学, 創造工学部, 准教授 (90550666)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ダウジング / 疑似科学 / 代替医療 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年8月から9月にかけて、ドイツ国内での資料調査を実施した。ドイツ国立図書館ライプツィヒ館(Deutsche Nationalbibliothek)、ベルリン州立図書館(Staatsbibliothek zu Berlin)、ハノーファー大学ゴットフリート・ヴィルヘルム・ライプニッツ図書館(Gottfried Wilhelm Leibniz Bibliothek)にて、20世紀前半のドイツで活動していたダウジング研究団体であるVerband zur Klaerung der Wuenschelrutenfrage、 Internationalen Vereins der Wuenschelrutenforscher、 Gesellschaft fuer Wissenschaftliche Pendelforschungの機関誌および刊行物と、当時出版されたダウジングについての書籍およびパンフレット、放射線ダウジングを含む代替医療批判をおこなっていた組織であるDeutschen Geselleschaft zur Bekaempfung des Kurpfuschertumの機関紙Gesundheitslehrerなど、本研究テーマに関連する一次資料調査を実施した。複数の団体の機関誌の創刊号から最終号を閲覧したことで、各団体の活動の全体像や団体間の交流が把握できただけでなく、先行研究ではほとんど着目されていなかった人物や事象などを発見することができた。また、1930年代に実践が広まった放射線ダウジングについても、当時の反響を詳細に知ることができた。資料調査終了後の2019年度後半は、これらの資料の整理と検討をおこなっていたため、研究発表を実施する段階には至らなかった。本研究の成果については、2021年に作品社より単著を刊行予定である。(ウムラウトは代替表記)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2019年夏にドイツで実施した資料調査では、調査先の各機関の担当者の協力などもあり、予定していたよりも多くの資料を閲覧することができた。特にDeutschen Geselleschaft zur Bekaempfung des Kurpfuschertumの機関紙Gesundheitslehrerについては、当初の調査対象には含まれていなかったが、他の資料を調査中に関連性を発見し、Gottfried Wilhelm Leibniz Bibliothek所蔵の号を閲覧・複写することができた。資料調査終了後の2019年度後半は、これらの資料の整理と検討をおこなっており、研究発表を実施する段階には至らなかった。研究成果の発表に至っていないことにくわえ、資料整理も予定より遅れており、進捗状況は全体として「やや遅れている」と言わざるを得ない。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画においては、2019年度に続いて2020年度の夏期にも、ドイツにて資料調査を実施する予定だった。しかしながら、新型コロナウイルス感染拡大による渡航制限の解除の見込みがたっておらず、年度内の調査実施は難しいことが予想される。本研究は一次資料を基礎とするものであり、資料調査を回避して研究を継続することは不可能である。したがって、当初予定していた夏期の調査が無理であっても、ドイツでの資料調査が可能な状況になった時点で、2019年度に調査をおこなったドイツ国立図書館とベルリン州立図書館の他、ナチス関連の資料を多く所蔵するベルリン・ドキュメント・センター、コブレンツの連邦公文書館などでの資料調査を実施する予定である。この資料調査では、2019年度の資料調査で閲覧することができなかったGesundheitslehrerの一部の号と、19世紀末の水源ダウジングと軍部との関わり、および、1930年代における放射線ダウジングとナチスとの関わりを示す文書等を中心に調査を実施したい。 資料調査と同様に研究成果の発表に関しても、2020年度にはコロナ禍の影響で各学会の大会等が開催中止を余儀なくされており、国内外を問わず、2020年度中に口頭発表の機会を得ることは難しいかもしれない。だが、現段階でも論文を投稿することが可能だと思われる学会誌は複数あるので、学会での口頭発表ではなく学会誌への投稿を中心に、研究成果の発表の予定を再検討したい。また、本研究の最終的な成果をまとめた単著については、既に作品社に出版企画の承諾を得ており、2021年度内に『ペンと振り子』のタイトルで刊行予定である。投稿論文についても、最終的にはこの単著に収録することを前提として、個別のテーマを設定したい。
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