2022 Fiscal Year Annual Research Report
旧仏領インドシナにおける鉄筋コンクリ―ト技術伝播に関する資料調査
Project/Area Number |
19K00278
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
山名 善之 東京理科大学, 理工学部建築学科, 教授 (70349843)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 旧仏領インドシナ / 技術伝播 / 鉄筋コンクリート / ブロサール・モパン / Brossard and Mopin / 植民地 / 鉄道 / アーカイブ |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度より資料調査を開始したブロサール・モパン社(Brossard & Mopin, 以下BM社)について、2021年度に新型コロナウィルスの影響で実施を延期したフランスおよびシンガポールにおける調査を2022年度に行うことができた。BM社は鉄筋コンクリート技術による建設工事を旧仏領インドシナ、シンガポール、天津などで行ったフランスの建設会社である。2021年度までの成果によって、BM社の支店が1912年から1932年までシンガポールに置かれており、BM社に関する資料がシンガポール国立アーカイブズに所蔵されていることを把握していた。2022年度に行った資料調査によって具体的に次なる成果を上げることができた。①シンガポール国立アーカイブズには、BM社が1913年から1930年にかけて作成した56件の建築計画案の図面および文書資料が1362点存在した。②図面に記載された道路名称と現在の地図および古地図を照合することにより、申請された56件の計画のうち26件の建設位置を特定した。③計画の名称および図中の表記を確認することにより鉄筋コンクリートが用いられた計画は、申請された56件の計画のうち48件であることが分かった。④新聞記事のアーカイブズ資料を確認することで、鉄筋コンクリートが用いられた48件の計画のうち19件が実際に建設されたことを特定した。⑤実際に建設された19件のうち、4件が現存しておりかつナショナルモニュメントとして保護対象となっていることが分かった。その他の12件は現存せず、3件については典拠がなく判別不能であった。上記の内容から、アジアにおいて鉄筋コンクリート建造物の建設を行ったBM社について、シンガポールにおける活動状況を図面資料から具体的に把握することができた。また数少ない現存する作品のほか、多くの計画案および既に滅失した計画があったことが明らかになった。
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Research Products
(1 results)