2022 Fiscal Year Annual Research Report
Japan-US Comparison of Nuclear Power Plant Visitor Centers: Exploring the Features of the Communication
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19K00280
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Research Institution | Meiji Gakuin University |
Principal Investigator |
長谷川 一 明治学院大学, 文学部, 教授 (70401239)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三河内 彰子 明治学院大学, 文学部, 研究員 (20838453)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 原発PR施設 / 原子力関係展示施設 / アメリカの原子力 / 原子力と社会 / マンハッタン・プロジェクト / コミュニケーション / パブリックリ・リレーションズ / ナショナル・ヒストリー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の目的は、これまで看過されてきた原発PR施設を対象に、メディア論の立場からその実態を把握し、国際比較を通して、そこでのコミュニケーションを多角的に検討し、その特質を明らかにすることにある。原発PR施設という場を媒介に、原発と人びとがいかに結合ないし切断されているかを把握し、全ての人に開かれた議論の場の構築への一助とすることをめざしたものだ。 2019年度は献調査と第1回現地調査を実施した。文献調査では原発PR施設の現況を俯瞰的かつ網羅的に把握した。PR施設や原子力広報にかんする文献を渉猟し、全米に散在する諸施設の所在を地図にプロットした。この地図をもとに2019年8月から9月にかけて第1回現地調査を実施した。アメリカ本土の南半分にあたる14州で20か所以上の施設を訪れて実見した。COVID-19感染状況悪化のため2年にわたり延期せざるをえなかった第2回現地調査は、2022年8月から9月にかけて実施することができた。アメリカ本土の北半分にあたる15州で20か所以上の施設を実見した。原発PR施設だけでなく、原子力を主題とする種々の展示施設も含まれている。 調査の結果、アメリカにおける原発PR施設は日本のそれに比して質量ともに著しい縮小傾向にあることが明らかになった。いっぽう主として軍事利用を主題とする原子力関係展示施設は数が多く運営も熱心であることがわかった。また後者では核兵器開発や保有を肯定する公定ナショナル・ヒストリーのナラティヴが一貫しているのにたいし、前者のナラティヴは散漫で内容も貧弱であることも明らかにした。以上のように研究目的を達成することができ、日本の原発PR施設のありようとの比較作業にも見通しがたった。 研究成果の一部は適宜国際学会での発表や論文の形で社会に発信してきたが、さらに現在、研究成果を総合的にとりまとめた書籍を執筆中である。
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Research Products
(4 results)