2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K00283
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Research Institution | Yokkaichi University |
Principal Investigator |
斎藤 憲 四日市大学, 関孝和数学研究所, 研究員 (10221988)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 円錐曲線論 / Apollonius of Perga / アポロニオス / diagrams of geometry / 古代の幾何学の図版 |
Outline of Annual Research Achievements |
アポロニオス『円錐曲線論』の図版の役割を,写本における(不正確な)図版を通して検討した.現存ギリシャ語写本はすべてVat. Gr. 206に由来することが知られている.この写本には,放物線,楕円,双曲線の3種の円錐曲線がすべて円弧で代用されているという驚くべき不正確な図版が伴っている.また図版をプログラムでトレースして再描画する作業を行った. 今年度はギリシャ語写本に含まれる第4巻までのうち第1巻,および第2巻の一部の命題を検討し,不正確な図版が命題の理解の大きな妨げにならないことを確認した.その理由は次のとおりである. 円錐曲線の性質の多くは,図版から直観的に把握されるものではない.議論の大半は,曲線に対して径(diameter)と規則線(ordinate)の2つの定方向の直線を引き,円錐曲線との交点で切り取られる線分について,相等や比例の関係を証明する.端的に言えば,円錐曲線論の本質的内容は直線の比例関係なのである.別の言い方をすれば,議論は「曲線に沿って」行われるのでなく,曲線との交点で切り取られた直線に対して行なわれる.したがって交点をつなぐ曲線が正確でなくとも,数学的議論を追うことは可能なのである. 本研究のもう一つのテーマは,写本の図版を再現するために現在利用しているプログラムDRaFTの機能を拡充し,写本の図版を再現すると同時に,数学的に正確な図版をも作成することであった.このため,描画のレイヤーを複数準備して,オリジナルな図版のデータを持つレイヤーと,命題の数学的条件によって修正したレイヤーを作成するという基本方針を定めた.3月には具体的な打ち合わせを開始する予定であったが,コロナウイルスの流行のため,プログラミング依頼先(イタリア)との打ち合わせが中断したまま年度末を迎えた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
多数ある複雑な図版を解釈する視点を得るのに当初の予想よりも時間を要したこと,年度末になって,コロナウイルスの流行のため,プログラム作成に関する研究打ち合わせが中断したことのために,当初予定よりも研究が遅れている.
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Strategy for Future Research Activity |
プログラム作成に関係なく進められる図版の描画,分析を先にすすめ,コロナウイルス流行の影響が収まった時期に再開するプログラム作成のために,要求仕様などを整理することで遅れを取り戻せると考えている.
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Causes of Carryover |
予定していたプログラムの発注に至らず,この予算を次年度に使用することとしたため.順調に研究計画が進行すれば,次年度にプログラムの発注-試用-追加仕様の決定-再度発注を行なって,次年度分の予算も使用することが見込まれる.
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