2019 Fiscal Year Research-status Report
Is the third minamata disease an "illusion"?
Project/Area Number |
19K00286
|
Research Institution | Kumamoto Gakuen University |
Principal Investigator |
高峰 武 熊本学園大学, 公私立大学の部局等, 特命教授 (40834172)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 ゆかり 熊本学園大学, 公私立大学の部局等, 研究員 (10548564)
田尻 雅美 熊本学園大学, 公私立大学の部局等, 研究員 (70421336)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 水俣病像 / 医学 / 汚染 / 拡大 / 政治 / 社会 |
Outline of Annual Research Achievements |
第三水俣病事件は水俣病事件史の大きなターニングポイントとなった事件である。 1973年5月の熊本大学医学部研究班の班長総括に書き込まれた「第三水俣病」という言葉は当時、大きな影響を持って受け止められた。その影響は全国に広がり、水銀パニックと呼ばれるほどの事態を生んだ。事件は環境庁によって、第三水俣病が否定されたことで、社会的には一応の終止符が打たれた形となったが、以後の水俣病をめぐる医学、行政、政治など多方面に大きな波紋を広げ、深刻な後遺症を残した。本研究は当時の視点と現在の視点を織り交ぜながら、事件が持っていた意味を多角的にとらえようとするものである。 4カ年計画の初年度に当たる年は、関係資料の確認、そして収集と整理、それに加えて関係者のインタビューを行った。資料の収集・整理では、地元紙である熊本日日新聞のコピーを徹底して行ったのをはじめ、熊本大学医学部の当時の医学論文や雑誌などへの投稿も積極的にリサーチした上で集めた。関係する研究会などが行われる場にも積極的に参加し、資料の収集に努めた。 また2018年2月に亡くなった作家の石牟礼道子さんに関する対談や企画本の発行も相次いだことから、それらの収集、取材も行った。石牟礼道子さんは水俣病事件を語る上ではキーパーソンの一人である。 インタビューでは、環境庁の当時の官僚たちから話を聞いたほか、現在の幹部などにも、第三水俣病事件への印象などを聞いている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
基礎的な資料の収集は想定された通りの物が収集できている。また収集した資料の分類も順調である。
|
Strategy for Future Research Activity |
2年度の今年は、昨年度に引き続いて関係資料の収集を進めるほか、当時の関係文書を求めて環境省や熊本県への文書公開請求も検討している。また第三水俣病事件をめぐっては国会審議も行われており、国会図書館での議事録収集も検討している。 関係者へのインタビューでは、対象者もそれぞれに高齢化しており、早急な実施が求められている。課題の一つだろう。
|
Causes of Carryover |
今年度はインタビュー相手と日程調整が難航したほか、年度末にはコロナ禍があり、移動が制限されたことも研究の大きな足かせとなった。2020年に積み残したものは早急に取り組みたい。
|